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私は蒸留酒を一口飲み、太宰に訊ねた。
「それほどに哲学的な思考をしているということは、仕事で失敗したのか?」
「そう、そうなのだよ。
失敗も大失敗さ」
太宰は唇を尖らせた。
「囮作戦でね。
ことの発端は、私達の密輸品受け渡しを、どこぞの愉快な連中が邪魔して横取りしたがっている、なんて情報をつかんだ事だ。
私達の飯の種を横からかっさらおうなんて、嬉しくさせてくれる連中だよ。
これはさぞや威風堂々たる益荒男が来るだろうと思って、わくわくしながら待ち伏せしたのさ。
うまくいけば壮絶なる戦死だ。
ところが現れたのは五円玉みたいにぱっとしない銃運びさんたちが十数名ときた。
虎の子と云えるのは機銃つき幌車に手提げ榴弾砲。
がっかりしたから倉庫で罠を張って包囲攻撃をしたら、泣きながら逃げていったよ。
おかげでまた死にそびれた。
詰まらないなあ」
そんな事だろうと思った。
この男が失敗するところなど想像もできない。
「その連中はどこの組織だった?」
「うちの元気っ子達が逃げそびれた奴を捕虜室で小突き回しているから、直に吐くんじゃないかな」
苛烈なポートマフィアの報復を恐れないとは、相手は確かに肝の太い益荒男のようだ。
そして太宰の落胆とは裏腹に、機銃と榴弾砲を揃えてきた連中なら、あながち現実認識の出来ない間抜けでもない。
相手が太宰でなければ、の話だが。
ポートマフィアにはこういう云い習わしがある。
『太宰の敵の不幸は、敵が太宰であること』。
太宰がそうしたいと思えば、戦争の銃撃戦の真ん中でランチピクニックをすることだって出来る。
"マフィアになる為に生まれてきたような男"なのだ。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時