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矢継ぎ早に持ち上がる展開の数々に隠れて、何か小さな違和感が脳裏にこびりついていた。
しかし違和感の正体は、背中の見えない位置にある古い痣のように、奇妙に霞んでぼんやりとしていた。
「織田君」
退室しようと扉に手をかけたところで、背後の首領が云った。
「君が肩から提げている自動拳銃。
善い型だね」
私は自分の銃を見た。
背広の内側に吊り下げられた拳銃囊には、古い黒色拳銃が収まっている。
「使い慣れているだけの骨董品です。
しかし、光栄です」
「些細な好奇心から訊くのだけど、君はその銃で人を殺した事が一度もない、と噂だが」
私は頷いた。
偽証してもどうしようもない。
「事実です」
「何故かね?」
答えるまでに、数秒呼吸を整える時間が必要だった。
「その質問は、組織の長としての命令ですか」
私は訊ねた。
「いいや。
私個人が発した、単純な興味だよ」
「では答えたくありません」
首領は一瞬、きょとんと目を丸くした。
それから腕を組んで微笑した。
出来の悪い学徒に対して教師が呆れるような仕草だった。
「そうかね。
では行き給え。
善い報告を期待しているよ」
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織田作之助
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時