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*


私はその紙片を受け取った。

この紙片は謂わば権限委譲書だ。

通称『銀の託宣』と呼ばれるこの紙片の所持者の発言は首領の発言に等しく、紙片を見せて指示すれば、五大幹部以下の人間は断る事ができない。

断れば組織への背信と見做され処刑される。


その伝説の書き付けを自分が持っているという事実に、何か信じがたい非現実感を感じてしまう。

「それがあれば幹部でも顎で使える」

首領はにっこりと笑った。

「そう云えば、君は幹部の太宰君と個人的な友人なのだったね。
立場を超えた友情と云う訳だ。
彼は優秀な男だから、困ったら頼るといい」

『友人』『友情』と云う言葉が出て多少胸がちくっとしたが私は答えた。

「その心算はありません」

本当のことだった。

「そうかね?
歴代最年少幹部の肩書きは伊達や酔狂では手に入らない。
組織の同僚からは異端児扱いだが、私は太宰君の実力は飛び抜けていると思う。
あと四、五年もすれば、私を殺して首領の椅子に座っているだろうね」

首領は悪戯めいた笑みを浮かべた。


私は表情を変えなかったが、内心は足が浮き上がるほど驚いた。

それから首領の顔を見た。

稚気ともとれる、そのにこにこした表情からは、首領の真意は読み取れない。

冗談の一種だろうか。

「善き便りを期待しているよ」


首領が羽根ペンをスタンドに戻した音を合図に、私は一礼して扉の方へ向かった。


奇妙に喉が渇いた。


*

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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時

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