五十九話 ページ18
「久しぶりです皆さん…」
もう残暑も過ぎたのか、涼しい日が続くようになった9月下旬、僕は久々に学校へ行った。
事情は勿論皆知っているので、僕を責める人はいないようで助かった。
いやしかしそれでも嫌味すら聞かないのは逆に怖いというものだが。
「あー!大地君今日は大丈夫なんだ!久しぶりの学校だね!」
なんて、怒乃さんに言われたが……久しぶりと言うのも普通は可笑しいのだ。
「大地が来た!」
「あっ、大地君だ、久しぶり〜」
「心配してたぞー!」
そんな声が教室のそこかしこから聞こえる。
「ほーら、授業始まるぞ、席着けー」
僕の机に群がるクラスメイト達を払い除けるかのような声がかかる。
その声に従順に従うクラスメイト…素直だ。
僕も同じく、気怠げに席に座った。
久しぶりだからと言って、授業が楽しいとは限らないのだから、怠いのは仕方あるまい。
………。
授業終わり。
いや、凄く指された気がするのだが…新手の嫌がらせだろうか。
かなり狼狽えた…最低限の予習はしているつもりだったのだが。
疲れがどっと襲って来たので、机に体を預けるように伏せた。
………怒乃さんに心配されたので体を起こした。
それから、どの授業でも先生に何度となく指されると言う人気っぷりをクラスメイトに見せつけつつ、1日を過ごしていた。
時間が経つにつれ、どんどん疲れは溜まっていく一方だ。
まだ神崎さんの無茶振りに付き合っている方がマシだった。
そんな、ある意味では激動だった学校での生活も終わり、帰路に着いた。
部活はもう、三年生なので引退している。
ちなみに僕はバスケ部だった…文化部は女子で埋め尽くされていたのだ。
選手になるのは嫌だったので、練習より雑務を率先してやっていた。
お陰で後輩には舐められまくっていた。
閑話休題。
おぼつかない足取りで家に着けば、妹がソファーに寝転がって本を読んでいた。
…そういうば妹も中学三年生か。
「お帰り、兄。お腹空いた」
「腹ペコキャラでも目指してるのか……?」
妹のキャラ変は突拍子もないので、何かと翻弄される。
「にしても兄、フラフラじゃん。熱でもあんの?」
「あー…どうなんだろうね」
「計ったら?風邪だったら移されても困るし」
「……そうする」
心配されてる訳ではなかったようで、自分が可愛いだけの妹に言われるがまま、僕は体温を計った。
まあ…分かってはいたが、熱があった。
全く遅すぎる夏風邪だ。
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