42 ページ43
ついに治くんが侑くんと並び、2人は周りの応援そっちのけでもはや張り合いながら走っていた。他のクラスのアンカーの人達、もはや空気になっている。
ゴールテープまであともう少し。それなのに双子の決着はつきそうにない。治くん、前に言っていた。スタミナは侑くんにも負けないけどテクニックは侑くんの方があるから、終盤追い上げられたら負けるって。
『俺、絶対勝つからな!瞬きせんで見とって!』
治くんが、そうあたしに言ってくれたんだ。あたしも、ちゃんと声に出して応援したい。
「治くん!!!頑張れー!!!」
キィーン、とマイクの音が割れた。あ、やらかした、と思った時には、治くんがゴールテープを切っていた。
体育祭閉会式は中々ダルいけど、それ以上にあたしは恥ずかしさで今すぐこの場から去りたかった。
もうあたしは自分が放送係であることも忘れ、でっかい声で治くんを応援したらその声はマイクに拾われてしまった。放送で響いたあたしの治くんを応援する声は、全校生徒にも本人たちにも聞こえていただろう。
「橘さん、クラス戻ったらバッシングだね」
角名くんは隣で笑い転げていたけど突っ込む元気もなく、ビクビクしながらクラスに戻ったら案の定叩かれた。他クラス応援するな!私情持ち込むな!って。担任にもこっぴどく叱られた。酷い。そこまでする必要ないのに!
「じゃあ最後に、体育祭実行委員長と副委員長から一言お願いします」
全校生徒の前に出てきたのは、3年生の実行委員長と、副委員長である治くんだ。誰もやりたがらない副委員長に侑くんの推薦(侑くんによる嫌がらせ)で副委員長になってしまった治くんは、リレーの後だというのに随分元気な姿だった。それどころか機嫌が良さそうだ。普段ならお腹空いた…ってしにそうな顔してるのに。
委員長からの熱の篭った一言が終わり、続いて治くん。今回の体育祭で一際目立っていた治くんは今日1日で女の子の心を掴み、治くんが話し始めると密かに歓声が聞こえた。黙れ、治くんが話してんだからよ!
「……ってことで、最後に1つええですか?」
区切りよく話し終えた治くんだったが、まだ話すことがあるらしい。今日の治くんはいつもより気合いが入ってるなあと思いながら前に立つ治くんに見惚れていると、治くんの視線があたしへ移った気がした。
…いやあたしのこと見てない?
1809人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
治 - ↓ツム…、、ありがとな (11月8日 19時) (レス) @page47 id: 804a1b86af (このIDを非表示/違反報告)
侑(プロフ) - めちゃくちゃいい作品に出会ってしまいました、、サム、、永遠に食と夢主と幸せでおってくれ、、、!!! (2023年2月18日 17時) (レス) @page47 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
山さん - ………………可愛ええなぁ……この2人…………欲しいわ←お巡りさんこいつです (2021年9月12日 6時) (レス) id: a9954d5378 (このIDを非表示/違反報告)
どろっぷ - すごくおもしろかったです。治、かわいい… (2020年10月19日 16時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ味のブドウ - めっちゃ面白いかったです!!!ニヤニヤしちゃいましたw 完結おめでとうございます!今日読みましたがw 大好きですッッッッッ (2020年10月11日 20時) (レス) id: 8dfd0cadf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴーち | 作成日時:2020年7月5日 15時