絶対的アンサー【宮治】

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体育祭の大トリ、クラス対抗リレーが始まった。それぞれのクラスから６人が選別されるクラス対抗リレーは毎年応援も一番盛り上がり、今では体育祭名物となっている。



治くんと侑くんは何やら言い合いながら入場していた。きっと負けんからな！俺が勝つからな！とでも言い合っているのだろう。そんな姿が想像できて思わず笑ってしまった。



「何笑ってるの、怖いんだけど」

「……」



しかしあたしは放送係。本当なら友達と集まって治くんを応援したかったのに、隣にはチベットスナギツネ。未だ上手く距離感を掴めないこの男は今も呑気にあたしの隣でうちわを扇いでいる。



「あたし治くん応援するから、角名くん放送やってよね」

「俺も治応援するから無理。てか、橘さん侑のクラスじゃん。侑応援しなよ」

「はあ！？嫌だね、なんで侑くん応援しないといけないのさ！てかあんた今日一度も放送してないよね！？」

「あ、始まる。ほら、早くマイクスタンバイ」

「てめえマジで覚えとけよ。明日から無視するからな」

「仕返し幼稚じゃんw」



用意された台本を棒読みで読み上げる。あたしの感情の籠っていない低い声が校庭中に響くのはかなり恥ずかしいけど、治くんが一瞬こっちを見てくれた気がした。治くん！と手を振ろうとしたのに角名くんに横取りされた。マジで明日から無視してやる。



まずは１年生のクラス対抗リレーが終わり、続いてあたし達２年生のリレーが始まった。第１走者から順調に進んでいき、第５走者までバトンが渡った時には１位はあたし達のクラスだった。遠くにあるあたしのクラスの集団が、大いに盛り上がっているのが見える。


そしてそのすぐ後ろに治くんのクラスが走っており、終始接戦のままアンカーへとバトンが渡った。



アンカー以外は100mを走るんだけどアンカーだけは倍の200mを走る。一歩侑くんがリードしているが治くんも負けじと侑くんを追い越そうと少しずつ侑くんに迫っていた。



「侑くーん！頑張れー！！」

「治くん抜かせー！！！」



他学年からの応援になるとやはり侑くんの声が多いけど、あたしは心の中で治くんを応援してるからな！！放送してる手前声に出して応援できないのが辛いし、あたしは侑くんと同じクラスだから侑くんを応援せねばならないのだ。辛い！



「治スタミナ切れしないでよー」



……そして隣の角名くんは応援する気があんのかこら。

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