・ ページ6
「…はい」
「…ああ」
ルカスの注意にバツが悪そうに、2人は頷いた。だが、絶対納得出来ない、というのが2人を纏う空気感や表情で何となく察せる。それをルカスとベリアンも感じたのか、ルカスは困った様な表情を浮かべて、ベリアンは「あらあら…」と苦笑する。わたしも何だかそれがおかしく思えて、自然と笑みが零れた。
「……主様が笑った…」
その時、バスティンの声が聞こえて、そちらに視線を向ける。目が合えば、バスティンは控えめに、だけど優しく微笑み返してくれた。声は届かなかったので、バスティンが何を言ったのかは分からないが、何処と無く嬉しそうに見えたから、わたしも出来る範囲で微笑んだ。
「ふふ。主様もバスティンくんも笑顔が素敵ですね」
ベリアンがわたしとバスティンを交互に見遣り、慈愛を込めた笑みで微笑む。
(…ベリアンの笑顔も綺麗だなぁ……)
ふと、そんな事を思ってジッと見つめていれば、ベリアンが視線に気付いたのか「主様、いかがなさいましたか？」と尋ねてくる。
「…何でも…無いです……」
そう言って、視線を逸らせば、ベリアンは不思議そうな顔をしたけれど、特に気にしていない様子だった。
「それにしても、猫さんを執事にするという件は、いかがしましょうか？」
ベリアンの一言で、当時の目的を思い出す。
(そうだ…。この黒猫さん、どうするか考えていたんだ……)
「でも、猫ちゃんが執事って面白くない？私は賛成だけどなぁ〜」
「え、ルカスさんまで、そんな事言うんすか？」
ロノが呆れた様に呟く。そんなロノを他所にルカスは話を進めた。
「猫ちゃん。貴方、何か特技とかありますか？」
「…掃除、洗濯、お料理、お裁縫まで……。やった事は無いですけど、頑張ります！」
黒猫さんは自信満々な表情で言う。それに対して、バスティンは「やった事は無いんだな……」と、呟いた。バスティンの呟きは誰にも拾われず、続けて、ルカスはベリアンの方を向く。
「なぁ、ベリアン。……どうかな？この不思議な猫ちゃん、執事として雇ってみない？」
「……では、ここは主様に決めて頂きましょう」
ベリアンは、暫し悩む様に黙り込んでから、わたしの方に視線を向ける。思わず、「…え？」と首を傾げた。
「そうだね。主様が決めた事なら、皆納得するだろうし」
ベリアンの提案にルカスも頷き、ロノもバスティンも同意の意を示すかの様に頷いた。
「では、主様。ご決断お願い致します」
「…え…、えっと、それなら……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちごみるく(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！色々大変だとは思いますが、どうか物語の完結まで頑張ってほしいです…！ (2023年2月20日 1時) (
レス) @page7 id: f6b69ae75f (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 2023/02/19 (2023年2月19日 12時) (レス) @page7 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - 星空ブリキさん» 夜分遅くに返信失礼します。コメントありがとうございます！面白いと言って頂けて感激です(；；) 応援のお言葉が執筆のモチベに繋がります…！これからも頑張りますね！ (2022年7月18日 0時) (レス) id: ed110b5660 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ - 昨日あくねこを知って、それからハマりました。めちゃくちゃ面白いです、頑張ってください！ (2022年7月17日 7時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - 瑠華さん» コメントありがとうございます！そして、返信遅くなり大変申し訳ありません。続編、やっと入りました。遅筆ですが、楽しみにして頂ける様頑張ります！ (2022年7月10日 0時) (レス) id: ed110b5660 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みょん | 作成日時：2022年6月29日 18時
