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初めての外、初めての人集り、初めての風景に初めてのお店。
目に入るもの全てが新しく新鮮で、あたしの心は踊った。
飴村さんはあたしの手を引き、とある喫茶店へ入った。
「好きなものを食べていいよ」と言った飴村さん。
あたしは食べ物というものは知っていても、食べたことは1度もなかった。
乱数「…？もしかして、こーゆーお店苦手だった？」
『…あ、いえ、そーじゃなくて……』
乱数「ん？」
『……食べ物を、食べたことがなくて』
乱数「…え」
飴村さんは、驚いたのか目を開いてこちらを見た。
『…あたし、目が覚めてから食事はしたことなくて、ずっと液体の栄養剤を点滴みたいに打ってただけでした』
乱数「…じゃあ、生命維持の飴は？」
『…あぁ、あれですか？あたしは要らないんです』
乱数「…要らない？」
『……あたしの生命維持は、飴じゃないんです』
乱数「そっか…」
それ以上、飴村さんが何かを言ってくることはなく、じゃあ尚更好きな物食べないとと言い、気になるものはない？と聞いてきた。
気になるものと言ってもと、あたしはメニューを眺めた。
すると、ひとつの食べ物が目に入った。
『……えっと、これ』
あたしは飴村さんに見えるようにメニューを指さした。
乱数「…これ、僕も作れるよ？」
『…でも、食べてみたいです』
そう言うと、飴村さんは「わかった！」と笑顔で言い店員さんに注文した。
しばらくすると、注文したものが運ばれてきた。
初めて見る食べ物。
あたしは箸を持ち、飴村さんをチラリと見た。
飴村さんは「食べていいよ！」と言ったので、あたしは人生で初めての食べ物を口に入れた。
＿＿＿一言で言えば、感動だった。
もちもちとしたコシのある麺に、優しい出汁の味が口に広がった。
『…ﾌﾌｯ、美味しぃ……！』
あたしは思わず笑みを零し、そこから箸が止まらなかった。
出汁に加え、トロトロの卵もうどんに良く合っていた。口いっぱいにうどんを詰め込んでいると、前からクスクスと笑い声が聞こえた。
目を向けてみれば、飴村さんが口を抑えて笑っていた。
『…あっ、その、』
乱数「いーよいーよ、初めてだもんね。それに、キミもちゃんと笑えるんだって安心した！」
飴村さんはそう言って、パンケーキを頬張った。
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さくら海(プロフ) - みんさん» ありがとうございます！！！頑張ります！！！ (2020年5月31日 11時) (
レス) id: eba3e9a097 (このIDを非表示/違反報告)
みん - んぁぁぁぁぁぁぁぁめっちゃいい話！！感動しちゃいますぅ……更新楽しみにしてます！！！頑張ってください(*´∀｀*) (2020年5月16日 2時) (レス) id: a7a20ec0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら海 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuraitkn1/
作成日時：2020年3月2日 12時
