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22、迫り来る絶望に ページ22

××



清潔な薬品の匂い。
目を開けるとそこは医務室だった。
その横の椅子には国木田さんが腰掛け、手帳の頁を捲っている。ずきりと痛む頭を押さながら、国木田さんに声をかけた。


「気づいたか。全くこの忙しい時に」

「……そうだ、谷崎さんにナオミさんは!?」


谷崎さんを庇って銃弾を浴びせられたナオミさん、そしてあの芥川とかいう奴の異能に攻撃された谷崎さん。僕は二人が心配でならなかった。


「無事だ。隣で与謝野先生が治療中」


国木田さんがそう云ったのと同時に、隣の部屋から凄まじい悲鳴が聞こえてきた。

治療、というよりは殺害寸前間近の被害者の悲鳴に近いような気がした。でも、無事だということを聞いて一先ずは胸を撫で下ろす。


「───中島先輩っ!」


扉を豪快に開け放ち、入ってきたのはAちゃんだった。彼女は嘗てないほど取り乱した表情で僕に詰め寄る。僕の身体を隅々まで見つめ回し、怪我がないことが分かったのか安堵の笑みを浮かべた。


「太宰先輩からあなたが襲撃に遭ったとお聞きしたのです。良かった……ご無事で」


そう云ったAちゃんの額には汗が浮かんでいて、僕のことをどれだけ心配してくれたのかが痛いほど伝わってきた。


「心配かけてごめんね……」

「いえ。ですが、何故中島先輩がマフィアなどに?」

「それは小僧が七十億の懸賞首だからだ」


国木田さんが口を開いた。
七十億、あまりに現実味のない額にAちゃんは瞳を瞬かせる。


「懸賞首にされているのはお前もだ。小娘」

「えっ!?」


国木田さんの言葉に僕はAちゃんより先に反応した。

「その額は百億。二人合わせ百七十億だ」

随分出世したな、と国木田さんが肩を竦める。
チラリとAちゃんを見ると、彼女は硬直していた。当たり前だ、いきなり自分が懸賞首にされているなんて聞いて素直に受け入れられる人はそういないだろう。


「く、国木田さん。マフィアが探偵社に押寄せて来たら!」

「狼狽えるな。確かにマフィアの暴力は苛烈を極める。だが動揺するな。動揺は達人をも殺す。師匠の教えだ」


そこで僕はようやく気づいた。
国木田さんの手帳が逆さまなことに。



**

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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんず | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年6月14日 21時

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