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「――――あ、そうだ」
ワンピースのジップを上に引き上げていると、御幸が眼鏡をかけながら何かを思い出したように口を開いた。
そしてベッドの横にあるチェストに置いてあった私のスマートフォンを、軽く投げながら渡してくる。……昨日はちゃんと鞄の中にしまっておいたはずなのに、何故ベッドのところにあったのだろう。
その疑問を打ち消すように、御幸は私の手の中にあるスマートフォンを指差しながら言った。
「連絡先交換しといた。あと住所も入れといたから、寂しかったらいつでも来ていーぜ」
誰が行くか、なんて考えながら電話帳を開くと、確かにそこには『御幸一也』の文字。ご丁寧にメールアドレスと電話番号と住所と誕生日まで載せられている。
「……後で名前のとこ『メガネ』にしとく」
「はっはっはっ、ご自由に」
スマートフォンをポケットに仕舞って鞄を持てば、同じように支度を終えた御幸が車の鍵を持って出口に続く扉を開けてくれた。
「ありがと」
「はいよ」
大人しく出口から外に出て御幸の後に続く。本当は公共機関を駆使して帰ろうと思ったけど、意外と時間もお金もかかることがわかったからお言葉に甘えて車で送ってもらうことにした。
助手席に腰を下ろしてシートベルトを締める。運転席に座る御幸は何だか様になっていて格好いい。……絶対に本人には言わないけど。
「……御幸って失恋したことある?」
顔は言うまでもなく整っているし、性格に少し難はあるけどそれでも昔から女の子に人気があったから、どうせないんだろうなーと思いつつも一応気になったから訊いてみる。
だけど御幸はそんな私の考えを裏切って、切なく笑って言った。
「あるよ」
「……え、本当?」
「ホントだよ」
恋愛において微塵も不利益を被らなさそうな顔とスペックなのに、と驚いていると、彼の携帯がブブ、と通知が来たことを示すように震えた。
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shinox2(プロフ) - 無事に終わって良かったです(^-^) (2019年1月4日 19時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - あおいさん» 返信遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます、すごく嬉しいです。これからも少しずつ更新を続けていきますので、どうか完結までお付き合いください。 (2018年9月3日 23時) (レス) id: beb33fecd4 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - いつも更新するのを楽しみにしつつ読んでいます!大変かもしれないですが、応援しています☆ (2018年8月19日 23時) (レス) id: 590107ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - ますみさん» はじめまして。応援ありがとうございます!がんばらせていただきます!!〜 (2018年8月19日 19時) (レス) id: beb33fecd4 (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - はじめまして。御幸とヒロインの関係を読んでいていいなと思いました!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年8月11日 9時) (レス) id: b7489a665b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2018年4月15日 20時