92話 ページ45
万次郎side
「場地さんいつもね、マイキーが、マイキーはなって私に楽しそうに話してくれるの。私の知らない佐野くんをたくさん知ってて、」
Aの言葉で、昔のことを思い出す
暗くなるまで公園で遊び、バカやって、たまにじいちゃんに怒られて、ただ楽しかった…
「あとね、東卍の話もたくさんしてくれるの。みんなのことがすっごく好きなんだって、部外者の私でも分かるくらい。そんな場地さんが、裏切ってるわけないよ。佐野くんもそれは分かっているんでしょ?」
心臓がドクンと高鳴る
心の中を覗かれたかのように、Aは言い当てる
「場地さんと喧嘩したくないなら、したくないってわがまま言ってもいいと思うよ。佐野くん、いつも総長として頑張っているんだから、こんな時くらいわがまま言っちゃいなよ」
そうだ…俺は誰かに許して欲しかったんだ
総長だけど喧嘩したくないって駄々捏ねてもいいって
ガキになってもいいって…
「だから、仲直りして…みんなでお菓子パーティーしよ?」
そう言って俺の首に腕を優しく巻きつけて抱きしめてくる。相変わらずあったかくてお日さまみたいな匂いで、胸の中にずっといたモヤモヤはやっと消え去った
やっぱりAがいないと、俺は何もできない
「A、好き」
「…………えへへ、私も」
明日、無事に場地と仲直りして、Aの家に一緒に帰ってみんなで騒ぎながら楽しい時間を過ごせると信じきっていた
俺は、自分が抱えた闇の深さを把握できていなかった
もっと自分の中にある黒い衝動のことをAに話しておけば、何か変わっていたのかな
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時