弐拾弐話 ページ22
目を覚ますと、そこは医務室だった。
「やっとお目覚めかい、芙美子」
「太宰....私、どうして......」
「敦くんから聞いたよ。どうやら間違えて酒を呑んでしまったようだね」
「道理で頭痛がすると思ったわ....ありがとう、迷惑かけたわね。私なにか変なことした...?」
「そうだねえ.....」
不安そうな瞳で太宰を見つめる彼女がいとおしく思い、太宰は少し意地悪をしてやろうと思った。
芙美子の右手首を掴み、ぐいっと身を乗り出す。
「キスのおねだり、かな」
「〜〜っ」
至近距離で己の恥を告げられ、顔が赤くなる。
慌てて太宰から目をそらす。
「照れちゃって、可愛いなあ」
「て、照れてないわよ!」
膝の上に両手を揃え、顔を太宰とは反対の方に背ける。
太宰はそれを見て、余計に愛おしくなる。
「キス、する?」
「だ、ダメよ、子どもができちゃうじゃない...まだ早いと思うわ」
芙美子の驚きの発言に、太宰は目を丸くする。
「芙美子、それ本気で云ってる?」
「そうだけれど....なにか問題が....?」
「ぷっ、くくっ」
「な.....!笑わないで、こっちは本気なのよ!!」
「ふふっ、すまない、つい、芙美子が可愛くてね」
ひとしきり笑ったあと、太宰は芙美子と向かい合う。
「キスくらいじゃ子どもはできないよ」
「へ....そう、なの......?」
「そう。だから、
キスしようか」
太宰の優しい声に、芙美子の胸が跳ねた。
ゆっくりと近づく太宰の綺麗な顔に胸の鼓動がうるさくなる。
(うるさい...うるさい)
胸を抑えながらぎゅっと目を瞑る。
「太宰。林は起きたか」
唇が触れるまであと数センチというところで、国木田が医務室の扉を開けて入ってきた。
「も〜国木田君、空気読んでよ」
「何がだ」
(た、助かった〜!!)
未だにうるさい心臓をおさえながら、芙美子は安堵したと同時に、少し残念な気持ちでいた。
「又、今度」
ポツリと太宰が耳元で呟いたのを聞いて、また芙美子の顔は赤くなるのだった。
・•・。☆。・•・
芙美子ちゃんの服装は前回と同様でいきます
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麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年2月9日 23時