検索窓
今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:11,976 hit

拾陸話 ページ16

帰宅したあとも頭の中にあるのは父親のことばかり。


鏡花も心配そうに芙美子のことを見て入るが、追求はしてこない。

きっと、気を遣っているのだろう。




(こんなのじゃ...ダメ......)




頭ではわかっている。


けれど、自分の父親なのだ。気になってしまうのは仕方がない。




芙美子はその日、ずっと父親のことで頭がいっぱいになり、着信にも気づかないで寝てしまったのだ。




........




「ん......」



薄明かりがまぶたを通して目を刺激する。



芙美子は起き上がり、ふと、頭上にある携帯が光っているのを見つけ、画面を見た。


母親からの電話だ。




「...もしもし。お母様?」



『芙美子、おはよう』



「おはようございます。どうして私の電話番号を知って....」



『この間、こっそり登録しておいたのよ』




ふふ、と機嫌良さそうに笑う母親の声を聞き、芙美子は少しだけ安堵する。




「お母様、お父様の容態は....」



『...原因はまだわからないの』



「そう....なん、ですか......」



『ええ。でもあなたも無理しないで』



「はい...大丈夫です。お母様」





つまり、父親の容態は良いとも悪いとも云えない。


胸の内がざわつく。




『大丈夫よ、お父さんはきっと良くなるわ』



「はい....ありがとうございます」



『いいのよ。じゃ、頑張ってね』





それだけ云って母親は電話を切った。


芙美子は耳から携帯を離し、そのまま腕を下ろす。




「...出勤の準備しないと」





厭な予感がふと、頭を過ぎったが、気にしないふりをして出勤の支度に取り掛かるのだった。

拾漆話→←拾伍話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)  
作成日時:2017年2月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。