拾参話 ページ13
ゆき子が申し訳なさそうに俯く。
右手をきゅっと握りしめ、振り絞ったような声で云った。
「先輩が.....大切なんです........だから、取られたくなくて........!」
苦しそうに顔を歪めるゆき子に芙美子は耐えられなくなり、ゆき子に抱きついた。
「ごめんなさい、ゆき子。ありがとう」
「せん、ぱ......」
「君、それだけじゃないだろう」
太宰が横からにやりと意地の悪い笑みをゆき子に向け、真意を探ろうとする。
その眼差しにゆき子は「うっ」と唸ったあと、観念したかのようにため息をついた。
「太宰さんと先輩が本当に幸せになれるか試したんです」
「芙美子が心配で?」
「そうですよ。ほんとにあなたは嫌な人ですね」
「芙美子にもそれ云われたよ」
参ったように笑う太宰を横目に、ゆき子はふっと笑った。
「あ、今笑ったね?」
「あなたが馬鹿すぎて」
「ひどいなあ」
「あら、私そっちのけで楽しそうに」
「嫉妬?可愛い」
太宰が芙美子の頭を撫でる。
芙美子は顔を少し赤くして「子ども扱いしないで!」と太宰の手を振り払った。
「私からすればまだ子どもだけど」
「う、うるさい!」
「照れてる先輩......レアだ.......」
「こら、ゆき子!!!」
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麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年2月9日 23時