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え。

……え、なんだ今の。
……なんだ今の!!!

横を向いただけだ。中原幹部に事情を聞こうと思っただけだ。なのに、なのに!!

何で今、この人、私の___。


「ンだよ、初めてか?」
「う、あ、ぅあ……」


途端に顔が熱くなる。混乱した頭で考えても、くらくらと思考回路は迷路状態だ。

何、なに、何。
中原幹部は今、なんで私と……?


「A」


中原幹部の、私を呼ぶ声がやけに優しく色っぽく感じる。どば、と毛穴という毛穴から汗が流れ出るような気がした。


「い、いや、ななな何ですか、何ですか!? 中原幹部どうしたんですか酔ってますか酔ってますね!?
直ぐにご自宅まで送らせて戴きますから座ってて下さいますかお願いします!!」
「五月蠅ぇ」


中原幹部は私の頬を掴むと、ぐに、と横に引っ張られる。いひゃひゃ、と声が漏れて、ちょっと涙が出てくる。

それを見た中原幹部は、へら、と柔らかく笑う。それを見た私は、顔を真っ青にするしかない。
しかも、更に続いた言葉に私は絶句してしまう。


「かわい、」


普段の中原幹部からは絶対に想像できない。だってマフィアの幹部様といえばあれだ、絶対的圧倒的強者。表社会でも裏社会でも。
それが、こんな。こんな、若い俳優も顔負けの素晴らしい笑顔なんて浮かべて良いものか。絶対良くない。

思わず呆然としていると、中原幹部はむ、とした顔で此方を見つめ返す。


「……ンだよ」
「いえ……中原幹部がそんな、可愛いなんて言葉……」


そもそも知ってたんですか、くらい聞いても許されるくらい、この人はそういうことに興味ないのかと……。


「手前に用意した言葉だよ」
「……ん?」


中原幹部は上機嫌で、私の頬を両手で優しく包んで、そして次々と私に口説き文句を降らせてくる。最早口説くっていうか恥ずか死にさせるつもりですか、という感じもするけど。

漸く中原幹部が寝ても、ドッドッと速い鼓動は止まらなくて、二、三時間程愛の告白紛いの言葉を浴びせ続けられた私は、泥酔中原幹部も吃驚な真っ赤な顔をしている。
綺麗な顔から落とされる愛を拒否することができるほど無欲じゃなくて、その始末がこれ。

もう送り届けるのも億劫、と半ば自棄になって、目を閉じて眠る。




「……済まねぇ」
「いえ……」


朝。中原幹部が呆然として私を見て、全部覚えているのか気まずそうに目を逸らされて、この言葉。
嘘じゃねぇから、という言葉に続いた告白に、私の顔がまた赤くなった。




2019/9/29 硝子屋

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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
- あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月25日 6時

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