魅惑的で不思議 【名前変換オリジナル】

#９ ページ9

「……あ、先生」


『え、ウソ。座らなきゃ』


結局、さっきの言葉の意味を訊ねることはできず。

前々から思ってたけど、宮浦くんは意味深な発言が多かった。

どこかこっちを期待させるような、匂わせというか……。単純な子とか純粋な子だったらそれだけで落ちるだろう、間違いなく。

不思議っ子だから無意識に言ってるのかもしれないけど。

朝だからか、ぼんやりとする意識のなか黒板をぼーっと眺めていると、微かに声が聞こえた。


「A、好き」


『……っ？！』


「……今日の髪型」


『主語がないよ、宮浦くん！』


突然なにを言い出したかと思えば、まさかの「好き」発言。さらには私の髪型の事だったらしい。

確かに、いつもはおろしていた髪の毛を今日はお団子にしてまとめている。けど、突然その素晴らしいイケメンフェイスで「好き」は良くないぞ。


「ごめん、何となく口に出してた」


『そーですか……』


「A、照れてる？」


『照れてない！』


＿言えない。

私の後ろに座っている宮浦くんからは見えないだけで、実は顔が赤くなってるなんて。

授業前に、なんて事してくれるんだ。


「……ホントは照れてんでしょ」


宮浦くんがそう呟いた事さえ聞こえないほどには、焦って余裕のない私であった。

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