無常【東京喰種】 (ページ7)

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過去を踏むページ7

「Aちゃん！」

一面紅い紅い、お花畑。

そこには、幼い頃の私と男の子が居た。

「どうしたの？＿＿くん」

男の子の顔や名前は、
もやがかかった様に思い出せない。

「えっと、これ」

「はなたば？」

「うん。
…Aちゃんのためにつくったんだ」

「わあ、きれい…！すっごくうれしいよ！」

「ほんとっ？」

「うんっ、ありがとう！」

何にも汚されていない、真っ白な笑顔。

赤い足元で、

無垢で無知で純粋に、

笑っていた。

「ねぇAちゃん、知ってる？」

「このせかいはきけんがたくさんなんだって」

「知ってる！ぐーるっていう、こわいバケモノがいるんでしょ？」

「…うん。だから、Aちゃんが喰種に襲われないように、
僕が守ってあげるねっ」

「ふふっ、それじゃあ安心だね！」

花を、踏み潰して歩く。

何も知らずに、無知なままに。

過去に歩んだ道の花たちは、

土と泥でぐちゃぐちゃ、黒くなっていた。

「A、＿＿くん。こんな所に居たのか」

「あ、＿＿＿さん！」

私たちを、誰かが呼んだ。

若いけれど、少しやつれた顔をした大人だった。

誰かに似ている。

「ほら、帰るぞ」

「ええ、もう？」

「ああ、もう五時だぞ。
それに、今日の夕飯は(名前が大好きなハンバーグだ」

「本当？！やったー！
いそいでかえらなきゃっ」

「そうだ、＿＿くんもおいで。
一緒に夕飯を食べよう」

「おうちにかえっても＿＿くんとも一緒にいられるのっ？」

「やったね！」

「うん！」

黒いクロい、お花畑。

みんなみんな、笑い合っていた。

＿いつか大きくなれたら、結婚しようね！＿

ああ、あのふたりは誰だっただろうか。