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目前が霞む ページ3

「目ェ覚めたかよ」


そんな声で瞼をゆっくり開くと、

目の前には目付きの悪い男の子がいました。


それが、彼_霧嶋絢都くんとの出会いでした。


「_お前は、今日からアオギリの一員だ」


話を聞くと、あの憎い男たち_CCGというらしい_をみんな殺したあの後、
私は気絶してしまい、そこをアヤトくんらによって拾われたらしいです。


誘拐というか、恩人というか。

そもそも何故、私が連れてこられたのか。目的は何なのか。


…でも、もうこの際なんでもよかった。

父が殺されたという現実に絶望し、
この頃はほぼ自暴自棄でした。


「…よろ、しく」


「…ん」


思いの外、アオギリでの生活は過ごしやすいものでした。

誰も私を蹴ったり叩いたり拷問したり、
実験台になんてしたりしない。

それに、トイレもお風呂もあって
夜になったら寝てもいいし食事だって三食出る。

人や喰種を殺したりする汚い任務はあるけど
私からしたら、ここは天国でした。
段々と私も元に戻りつつありました。


…けれど、居心地はよくありませんでした。


「なんでっ?助けに行かないの?」


仲間が敵組織に拉致された時のこと。

タタラさんは随分と興味なさげに、冷酷に言い放ちました。


「捕まったのは彼奴の自業自得だ。
助けに行く手間なんか掛けてられるか」


「あっあの人、仲間でしょっ?!」


「…めでたい頭で何よりだ」


組織なのに、仲間なのに、
みんながバラバラでした。


「…なんでこうなのかなぁ」


「お前がお人好しすぎなんだろ」


ここで私が気を許せるのは、アヤトくんだけでした。

ナキさんもノロさんもヤモリさんもニコさんもエトさんもタタラさんも、ひとりで生きてる。

それが、私には悲しかったです。


「仲良く、なりたいなぁ」


「…そうだな」


珍しく素直に返事をしてくれたらアヤトくん。

嬉しくて、そうだ、今日はちょっとお出かけしようよと誘おうとした刹那、爆音と爆風がアジトを襲いました。



「Aッ!!」


そして、アジトは一瞬として真っ赤に染まりました。


「へぇ…君がA、ね」


「おいテメェ…!Aを離せッ!!」


「アヤトくんっ!」


気付けば私は誰か知らない人の腕の中にいました。

少しその人の顔を見てみると
目が合いました。


「俺は有馬貴将」


でも、眼鏡の奥の瞳は、


深い闇。ただそれだけ。


私なんて、写っていませんでした。



「CCGにおいで」



また私は、駒になるしかなかったのです。

明日に向けた背→←正に取り憑かれる



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鏡華(プロフ) - 更新待ってます! (2019年8月1日 18時) (レス) id: 529e6aac76 (このIDを非表示/違反報告)
ほのぼの(プロフ) - 面白かったです!更新再開楽しみにしています。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: d6d9a7169d (このIDを非表示/違反報告)
糸こんにゃく(プロフ) - 面白かったです 作者様がこの作品のことを忘れてないことを願います (2018年9月24日 7時) (レス) id: 0a0cb51868 (このIDを非表示/違反報告)
イゼッタ(プロフ) - 好きです更新してくださいm(_ _)m (2018年8月20日 4時) (レス) id: 1f346eff48 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - この作品好きです!更新頑張ってください! (2018年7月13日 22時) (レス) id: 475c11c433 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:透夏 | 作成日時:2018年7月1日 17時

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