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焼き付いた紅 ページ1

思い出しました。

思い出したんです。


正義を貫いて生きてきた中、

徐々に自分を失っていくのに対して
私の記憶が段々と蘇ってきたのです。





.



__誕生日は思い出せませんが、確か、
雪の降る寒い日と聞かされました。

そんな日に、私は生まれました。

人間の母と喰種の父との間に、人間として。

もう、この時点で物語は狂っていたのでしょう。


あれは、小学校低学年のときでした。

ある日の下校中、私は大人に誘拐されました。

わけも分からぬまま全身をきつく拘束されて
車へと乗り込まされた時の
あの恐怖は今でも覚えています。


拘束が解かれたのは、
森の奥にある、廃れた研究所についてからでした。

そこで、大人_科学者たちは実験を始めました。

もちろん、実験台は私です。

内容は、私を喰種に改造するものでした。

人間と喰種の間に生まれた私は、
生物学上でもれっきとした人間でしたが、
ずば抜けて身体能力が優れていました。

丈夫な体の私は、実験台にうってつけだったのでしょう。

けれど、あいつらがどんな目的で喰種化実験を目論んだのかは、今になっても分かりません。


「いたい、い"だいいいタダいいたィああ"ぁ!!」


そこでの生活は、死ぬより辛いものでした。

爪や舌を抜かれ、指を折られ、目玉を抉り取られ、皮膚を縫われ、薬を飲まされ、手足を切られ、臓器をいじられ、実験実験実験。

食事なんてもの、虫や人肉や薬以外に出ないし、寝たりしたらきつい罰が待ってるし、トイレやお風呂、服なんてないし、監獄?地獄?


とにかく、辛かったです。


叫びました。

泣きました。

逃げ出そうとしました。

許しをこいました。

助けを呼びました。


けれど、誰も助けてはくれませんでした。

人間が怖くなりました。

元は私も人間だったのに、

どうしたらこんなにも同胞に残酷になれるのか。





私は、独りでした。




.



でも、諦めなかった私を神は見捨てていないようで。


何年も何年も待って待って待ち望んでやっと生まれた隙。

そんな機会逃すまいと
私は最後の力を振り絞り逃げ出しました。




そのとき、

自分以外のひとたちを全員殺しました。





もう、私は化け物でした。


一瞬で何百人もの大人達を殺す、怪物。


憎くてたまらないあいつらが望んだ、喰種。





「……あは」




気付けば、


血がこびりついた口角は

弧を描いていました。

正に取り憑かれる→



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鏡華(プロフ) - 更新待ってます! (2019年8月1日 18時) (レス) id: 529e6aac76 (このIDを非表示/違反報告)
ほのぼの(プロフ) - 面白かったです!更新再開楽しみにしています。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: d6d9a7169d (このIDを非表示/違反報告)
糸こんにゃく(プロフ) - 面白かったです 作者様がこの作品のことを忘れてないことを願います (2018年9月24日 7時) (レス) id: 0a0cb51868 (このIDを非表示/違反報告)
イゼッタ(プロフ) - 好きです更新してくださいm(_ _)m (2018年8月20日 4時) (レス) id: 1f346eff48 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - この作品好きです!更新頑張ってください! (2018年7月13日 22時) (レス) id: 475c11c433 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:透夏 | 作成日時:2018年7月1日 17時

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