クールビューティは知っている

訳あり少女　 ページ5

「ただいま。」


誰も居ない家に向かって言う。

それ故に、“おかえり”は返ってこなかった。




慣れている、こんな生活。

でも、やっぱり私も人間なわけで、寂しいという感情がある。



私は訳ありの人間で、一人暮らしをしているんだ。




親は、昔に死んでしまった。

兄と妹も居たんだが、やはりもうこの世には居ない。



親戚のところに転がり込んだわけだが、駄々をこねて、ここで一人暮らしをさせてもらっている。

だって、血の繋がっていない奴なんかが居たら、気を遣わせてしまうだろう？




それに……あのこともあったし。





ま、そんなことは置いといて、秀明に行こう。



実は、暇つぶしに、秀明ゼミナールという塾に行くことにした。

初めてのところで少しだけワクワクする。




準備をして、また誰にも届かない声を出した。

「いってきます。」





……誰か、返してほしいなんて思うのは贅沢だろうか。






〜＊〜


ポストの中を見ると、秀明ゼミナールという塾から手紙が届いていた。



あ、そういえば、入塾テスト受けたんだっけ。

どうせ暇だから塾入ってみようかな、みたいな軽いノリだったんだよな。




私は手紙を開き、そこに書いてあるものを読んだ。





どうやら、私は三谷Cというクラスらしい。


そして、特別クラスというクラスにも入ってみないか、と書かれていた。




特別クラス……？

ま、適当に入っとくか。



私は秀明ゼミナールに電話をかけ、それらを伝えた。



今日、これから、既に授業があるっぽい。

試しに来ないかと言われたので、せっかくだから行くことにした。







まさか、これが運命の糸で繋がっていたとは思いもせず。

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