本当の仲間は知っている

吐き気 ページ44

[黒木side]



ふと、冷静になってみた。

果たして、本当に立花彩は黒沢みかを虐めたのだろうか。




俺は夕日が沈む中、一人路地を歩く。


俺ら探偵チームKZは、立花彩率いる探偵チームフレンドに負けた。




探偵チームフレンドは、立花がKZを退団したすぐに出来たチーム。



チームメイトの組み合わせは歪ながらも、全員が賢く、KZにかなりの嫌悪感を抱いている。


恐らく俺らが立花彩をKZから強制的に退団させたからだ。





……そういえば、なんで、俺らは立花彩を退団させたんだ？



立花彩が黒沢みかをいじめたからだっけ。





俺は、あの時のことを必死に思い出した。


そう、あの日は、何もない普通の日。

けれど、KZの収集があり、カフェテリアに集まっていた。



立花彩が来るまで待っていると……黒沢みかが現れる。



そして、彼女は突然、立花彩にいじめられたと言い出した。

証拠の写真を差し出された。




なんで、彼女はわざわざそれを俺たちに？









……いじめられていたなら、学校の先生でも、親にでも言えばいいじゃないか。


だって、それを俺たちに報告したって、俺たちにはどうすることもできない。

学校も違う、接点もない。





なんで、そんなことをしたんだ？




疑問ばかりが募り、俺は立ち止まって思考を巡らす。


そして、ハッとした。





"ねえ、立花彩って女の子知ってる？"


"あ！知ってる！最近KZの周りを引っ付いてる人でしょ？"


"それそれ！！大したことないのに、なんであんな奴がハイスペックなKZといるか、本当に意味わかんない、うざい"


"……だったら、引き剥がしちゃわない？
もう二度と一緒に居られないようにさ"






これは立花彩が退団する前に通りすがりで聞いた話だ。

そうだ、俺らはこれについて話すために、あの時集合をかけたんだ。





全てを理解した時、ヒュッと背中に寒気が走る。




……なんで、こんな大事なことを忘れていた？







裏切ったのは、立花彩じゃなかったんだ。

黒沢みかをいじめたのは"アーヤ"じゃない。



全部、全部、最初から何もかもが違った。





なのに、俺らはアーヤを裏切った。

アーヤの話を耳を貸さず、全てを切り捨てた。








吐き気がした。

考えたってしょうがない→←お礼　

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