闇から光へ ページ41
*
“彩ごめんね、そして……ありがとう”
私の闇の言葉はとても温かかった。
私こそ、ありがとう。
心の中でそう伝えた。
そして、若武は静かに私から離れる。
「アーヤ、もう大丈夫だな。」
若武の優しい言葉に私は静かに頷いた。
もう大丈夫。
だって、私には若武たちがいるもの。
そう思った瞬間だった。
私の周りが光る。
そして、直視出来ないほどまでの光が、私を包んだ。
若武たちが見えない。
おそらく、若武たちからも私は見えていないのだろう。
でも、何故か嫌ではなかった。
むしろ、暖かくて、優しいような爽やかな気分。
そう思うと同時に、力が溢れてきた。
今までに感じたことのない、柔らかい力が私を包む。
なんだろう、この温かさ。
私はこの温かさと優しさを知っている。
私が考え込んでいると、声が聞こえたんだ。
私の大好きな、大切な、優しい人の声。
「彩。」
私は声の方を向く。
その方向には、短い髪をなびかせる、翔がいた。
「か、翔……。」
私は声がかすれながらも、懸命に声を出した。
夢じゃないよね。
幻じゃないよね。
私の目からは涙が溢れていた。
また会えたことが、嬉しくて、嬉しくて、
この世の言葉では表せないほどまで、私の心は救われる。
あぁ、やっぱり私にはあなたが必要不可欠みたい。
「翔、戻ってきてよ。」
私はただそう言った。
心の底からの気持ち。
あなたが居なければ、私の世界が灰色になってしまう。
彩りが消えてしまう。
でも、そんな涙を流す私に、翔は言った。
「お前なら出来るだろ?」
翔はそれだけ言って、霧のように消えていった。
え……?どういうこと……?
私は呆然としながらも、翔の言葉の意味を必死に考える。
私に何が出来る。
翔の居ない今の私に何が出来る。
必死に考えていると、ある1つのアイデアが浮かんだ。
私は自分の掌を見て思う。
今の私だから、出来ることがあるかもしれない……!
やるだけやってみよう!
そう決心すると、私にまとっていた光は消えていった。
そして、若武たちが見える。
若武たちは、私を見るなり、頬を赤くし呆然としていた。
あれ?どうしたんだろ……。
そう思っていると、若武が驚きの交えた声を出す。
「アーヤ……天使みたいだ……。」
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あき@草売り大魔王(プロフ) - 未胡成さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとてもうれしいです!今までこの作品を見守ってくださってありがとうございました! (2020年4月9日 7時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
未胡成(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白かったです! (2020年4月8日 23時) (レス) id: 1aec104bc7 (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - 彗さん» ハンドパワーだ← 少なくとも頑張れ!(( 根性だー(棒) (2020年4月8日 21時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
彗(プロフ) - あき@草売り大魔王さん» 書く気が出るほどの事起こんないかな← (2020年4月8日 21時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - 彗さん» 書く気を出すんだ!ファイト〜!← (2020年4月8日 16時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2019年6月29日 19時