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「僕は、準決勝で披露してもいいと思うよ」


うだうだ悩んでいるAに対して緑谷がかけた言葉は、実に単純なものだった。


「確かに、色々言う人もいるかもしれないけど……でもそれよりも、吉澤さんが後悔しないような方法を取るほうが何倍もいいと思うんだ!」

「緑谷くん……」

「それに……轟くんは、本当に強いからね」


しみじみと、噛み締めるように言った言葉は、緑谷の心からの本心だろう。トーナメントで轟とぶつかって負けてしまった緑谷だからこそ、しっかりと言える言葉なのかもしれない。


「ご、ごめんね、こんなことしか言えなくて本当に申し訳ないんだけど……」

「ううん、ありがとう。背中を押してくれて。私、誰かに大丈夫だよって言ってもらいたかっただけだから、そう言って貰えて安心した」

「そ、そっか、それなら全然いいんだけど……!ハッ!!?ってことはもしかしなくても、次の試合で……?」

「うん。ここだけの話、体育祭までの2週間、とっておきを完成させるために時間を使ったから、その……割と凄いと、思う。多分」

「そうなんだ!それは楽しみだなぁ!」


もううだうだ考えない。準決勝で必殺技を披露する。
そう決めたところで2回戦の第4試合の結果が聞こえてきた。


「切島くんダウン!爆豪くん3回戦進出!」

『爆豪、えげつない絨毯爆撃で三回戦進出!
これでベスト4が出揃った!!』


どうやら爆豪が勝ち上がったらしい。まぁ予想通りなのだが……
ここで1度休憩時間が入るとのアナウンスが流れた。その間もプレゼントマイクの実況は続くらしい。


『ここまで勝ち進んだ4人!どいつもこいつも実力派!
ヒーロー家出身、炎と氷の使い手!轟焦凍!
どんな相手も圧倒させる紅一点!吉澤A!
ほぼ無敵な漆黒のモンスター使い!常闇陰踏!
圧倒的な火力と爆発力の入試一位!爆豪勝己!』


廊下にあるテレビには、ベスト4メンバーの予選からの活躍をまとめたVTRが流れ始める。


「わわっ!ごめんね、こんなに話すつもりじゃなかったんだけど……吉澤さん、そろそろ控え室に向かうよね?」

「いや、むしろこちらこそ時間取っちゃってごめんね………そうだね、もう行こうかな」

「そっか………………その、吉澤さん!とっておき、楽しみにしてるね!」

「うん、期待してて!」


そのまま緑谷はクラスの観客席へ、そしてAは控え室に向かった。
 

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さくらもち(プロフ) - 夢桜さん» 感想ありがとうございます。体育祭での準決勝は、何度も頭の中でシュミレーションしながら文を考えたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!お気に入りもありがとうございます! (2020年10月19日 12時) (レス) id: ab0ed3cc07 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - ご感想失礼します。吉澤ちゃんが轟戦でWonderlandと叫んだ瞬間と、その個性の威力にとても驚きました!!戦闘シーンも分かりやすくそんな模写が頭を過ぎって凄い凄いと語彙力が飛んでしまいました……!お気に入り失礼します。これからも無理せず頑張ってください!! (2020年10月18日 10時) (レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらもち | 作成日時:2020年10月14日 7時

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