はちみつ色の日々 ２

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気が付けば宏光に手を引かれてて
あっという間に店の外。

強引に連れ出された割には
一緒に持ってきた上着を素早く羽織ってくれるし
引かれてる手も……温かい。




「宏光？ねぇ、宏光ってば」




でも足は止めることはせず
一向にまともにこっちを見ない。





「ねぇちょっと待って、私まだ会費払ってない、

「いいから、そんなこと今は」




店から結構離れて人通りも少なくなったとこで
ようやく足を止めてこっちを振り返ってくれた。





「そんなことって…、
会費は大事だよ？足りないと幹事さんが困るし」


「Aの分も一緒にテーブル置いてきたから。
つか幹事も幹事で、会費とかは普通最初に集めとくもんだよな」


……って話ずれたわ、って苦笑いしてる。

そんな宏光に私は財布からお金を出して渡そうとしたけど
その手を止められて





「だから今はそういうことじゃない。
この状況を察してくれ」




って、ちょっと怒ってるみたいな口調。

察してくれって言われても……
宏光がとった行動が、ひとつも理解出来ないんだもん。





「……分かんない、ごめん」





でも私だってこの気持ちを宏光に察してほしいのに。

女の子と楽しそうに飲んでてモヤモヤする気持ちとか
絶対宏光は分かってないじゃない。



………って、言いたいけど言えない。

まだ私は愛されてるっていう自信がないのかも。






「杉原、あいつの隣はやめろっつったじゃん。
あと酒も飲み過ぎんなって」


「………ごめん、」


「んな酔った状態でニコニコ話聞いたりしてたら
あっちだって色々と誤解しちゃうだろ」


「………、」




だったら宏光だって
あんな女の子に密着されて拒否ることもせず楽しそうにしてて
そっちこそ誤解されちゃうんじゃないの？

満更でもない顔してたくせに……！！





「だから飲み会とか一緒に参加したくなかったんだよ……」






…………何それ。

せっかく珍しく都合があって一緒に参加出来ることになって
少なくとも私はちょっとだけ楽しみにしてたのに。




「もういい………っ！」




ずっと引かれてた手を無理やりに勢いで振り払って
全速力で帰り道を駆け抜けた。

お酒が結構入ってるってのも忘れて
宏光から逃げるように、

泣きそうな顔を見られたくなくて。

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