泣き顔マニア ２

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「じゃあ先輩……、お疲れ様でした」





送別会も終わり、二次会のカラオケも解散になって
(カラオケでしっかり北山先輩の歌に聞き惚れた)
本当の本当に、最後かもしれない。





「お疲れ、最後まで付き合わせちゃって悪ぃな」


「全然！凄く楽しかったです」




むしろ最後までほとんどの人が残ってたし
本当に楽しくて帰りたくなかった。

もうすぐタクシーが来る、
店の前でワイワイしてる皆から離れて二人きり。

やっぱり最後まで私を特別扱いしてくれる先輩に
嬉しくなってしまった。





「あの、これ……」




皆がいると渡せないなって思ってたけど
思いがけず二人きりになれたから
カバンから取り出したプレゼント。




「え？なに？」


「誕生日プレゼント……、
あの日渡せなかったので、私が持っててもあれだし
良かったら︎貰ってください。
あ、先輩の出世のお祝いも兼ねて」


「まじ？
いや、別に出世なわけじゃねんだけど、
嬉しいわ、ありがと」





あ、そっか。
出世なわけではないか。

でもきっと本社で大きな仕事を成功させて
認められて、こっちに戻ってくることは無いもん。

それは皆暗黙の了解で分かってること。





「やばい、俺Aになんもないよ」


「え？そんな私がなにか貰う理由はないですからっ。
それも誕生日プレゼントだしっ」


「はは、そうか」


「それに………
先輩には本当にお世話になったし、沢山いろんなもの貰ったから……」




物理的にご飯とかいつも奢ってもらったこともそうだけど
辛い時にいつも助けてくれた。

私は気持ちに答えられなかったのに
先輩には貰ってばかりだった。





「………ほんと、ありがとな。
お前らのことかき乱しちゃって悪かったな」


「そ、そんなやめて下さいよっ。
むしろ先輩がいなかったら、ずっと裕太に不毛な片思い続けるとこだったんですからっ」


「そっか……。
上手くいきそうなんだもんな」


「…………はい、」




チクッ…、と罪悪感。

でもそう思ってもらってないと
スッキリした気持ちで離れることなんて出来なくなるもんね……。

精一杯笑顔を作って
俯き気味だった顔を、頑張って先輩の目線まで上げた。

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