泣き顔マニア ２

８３ 裕太side ページ34

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「ねぇ、」

「ぎゃっ！！！！」



「……、」





困った。

飲んだ帰りにAを家に連れてきたものの
めちゃくちゃ警戒されてるっていうか、
緊張しちゃっててこっちまで緊張移るっていうか。






「そんな警戒しないでよ
別になんもしないし」


「はっ……、う、え？」


「ただ本当に飲み直したかっただけ〜。
なんとなく寂しかったし」


「……あ、そうなの…」




警戒してたくせに
一気にしょんぼりして、




「期待してた？」


「なっ、ち、違うよっ！！///」


「んはは」





こういうとこだよな〜きっと。

期待を持たせちゃいけないんだろうけど
持たせて曖昧にしておくことで
先輩のとこに行かせないようにしてるみたいだな、今の俺は。






「でももうお酒飲めないや〜。
お腹ぱんっぱん」


「分かる、正直私もきつい」




ソファにぐでーんってした俺に
下に座ってるAはちっちゃく体育座りをしてる。

その後ろ姿に何気なく腕を伸ばしてみると
ちょうど指先に触れたAの柔らかい髪の毛。





「？！？！」





驚いて振り返るAの顔に
また笑っちゃうと、なんなのよってプンプンしてて





「Aの髪の毛って柔らかいんだね」


「……なに急に、」





でも途端に俺の言葉でドギマギしてるのも
分かりやすく伝わってくる。





「長く一緒にいるけどさ
知らないことってきっと沢山あるよね」


「……うん、そうだね」


「そういうのを少しずつ知っていったら
人って好きになれるものなのかな？」





俺がAを好きになれる確率なんて
何パーセントかも分かんない。

もし沢山の色んなAを知っていったとしても
好きになれなかったらどうしたらいいんだろう。

こんなんで無駄に傷付けたくないのに、





「分かんないよ………」





正直すぎるその答えを出すAを突き放したくはない。

離れてみて寂しさを感じたから
離れては欲しくないんだよ。

だけど………、






「なんでこんな難しいかな〜………」





大事だからこそ
適当な気持ちでAの気持ちには答えられない━━。

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