泣き顔マニア ２

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その後仕事はこなしてたけど
ずっと裕太が気になって、まるで仕事にならない。

昼休みも話を聞こうとしたけど
さっさと外に出て行っちゃったし
遥さんからそれとなく探ろうかと思ったけど
遥さんの姿も見当たらなかった。





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「あれ？A残業？」




そしてやっぱりこうなるわけで
考えごとしてると、ほんと仕事が遅れるこの自分なんとかしたい。





「……先輩、お疲れ様です」


「最近残業してなかったのに、珍しいな」


「はい……、ちょっと手こずっちゃいました」





こうして残業中に北山先輩が来てくれると
あの日のことを思い出す。

何度もキスをされた、あの日を。




「あのさ、今週末ひま？」


「今週末ですか？
ひまですけど」


「俺さ、誕生日なんだよね」


「えっ？！？！」




うそ！！！
全然知らなかった！
というか、知ろうともしなかったかは知るはずもないんだけど………っ。




「やだっ！
なんでもっと早く言ってくれないんですか？！」


「だってなんか自分から言うのも
祝ってくれって言ってるみたいで嫌じゃん」


「………ですよね、」




それを言わせてしまった自分が情けない。




「あ、じゃあ土曜日お休みだし
ご飯行きましょう！」


「うん、それもそうなんだけどさ…」





言いずらそうに私から目を逸らして
隣のデスクの椅子に腰掛けた。




「その日、俺んち来ない？」


「………え？」





目を逸らしたくせに
言い終わると、真っ直ぐに視線を合わせてくる。

その目に、ドキッとしてしまった。





「…っあ、え？またそんなからかわないで、

「からかってんじゃなくて、まじで。」





いつもみたいに軽いノリじゃなくて
真剣に伝えられる言葉。

どうしたらいいのか分かんなくて
先輩の顔を見つめることしか出来ずにいると、




「そろそろちゃんとした返事も欲しいし、さ。
もし無理なら土曜日も来なくていいから」





曖昧な関係をずっと保ってられないのは分かってたけど
こうして決断を迫られると、正直戸惑ってしまう。



だって私、ちゃんと先輩のことをすきになってるんだろうか。

裕太に元気がないだけで
仕事がはかどらなくなってしまうのに……、





本当に、裕太から離れられる………？

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