泣き顔マニア ２

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「だから………、」




今頭の中に浮かんでしまってる裕太の顔を
今すぐ消したいのに、

消したいと思えば思うほど
遥さんと別れて傷ついてた顔
私とのことを初めて考えてくれるといったあの言葉が私を苦しめる。




裕太が私のことを好きになることなんてないのに……。






「昨日、玉となんかあったんだろ？」


「……え、」


「昨日電話でああやって言われた時点で
Aはもう俺の事を好きにはなれないんだと
思った」





私から離れて、悲しそうに紡ぐ声色に
私はどうしたらいいのか分からなくて
また泣いてしまうことしか出来ない。





「今まで苦しめてごめんな」





………違う、違うよ。

苦しかったのは先輩でしょ？





「な…、んでそんなこと言うんですか…？」


「なんでって……」


「先輩のことが好きだって…、言ってるじゃないですかっ。
でもっ、━━━━、

ドサッ、と

言葉途中で押し倒された。


そして次の瞬間には
視界が先輩のお顔でいっぱいになってて

一瞬なにが起きたのか分からなかったけど
暗い中、先輩の感覚だけを身体で感じた。




「……っ、せ、先輩……っ？」




すぐに首筋に押し当てられた唇。

柔らかい髪の擽りも相まって
身を捩るように、反射的に目の前の胸を押し返した。


……のに、ビクともしない。





「ぁっ……、」




耳たぶを多分かぷっとされて
思わず出てしまった言葉に慌てて手で口を抑えた。

恥ずかしさと緊張とで
心臓が爆発しそう。





「ん……っ、ね、先輩……、なんか言って…？」





そのままずっと無言のまま
トップスの裾から手のひらが侵入してきて
ドキドキと共に、私の不安は募るばかり。


どうして何も言わないの……？

暗闇だから、言葉がないと
先輩がどういうつもりなのかが分からなくなる。






「………A、」


「ん………っ？」






お腹を撫でてる手が止まって
胸元から顔を上げた先輩が私をトロンとした目で見つめてくる。

薄暗くても威力を発揮するかのようなその視線は
確実に私の気持ちを揺らしてるのに、






「………ちゃんと拒否れよ、」






涙のあとを拭うように
触れた指先。

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