キラハグ

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「ほんとひろって変態だよね」


「俺で変態だと思ってたら
陽之介なんてもっとだぞ？ドン引きだぞ？」







腕を引かれたままそう言われて
そういえば、とさっきの理解できなかったもうひとつの言葉を思い出した。








「そういえばさっきの、おでこ出した方がいいって？
どういうこと？」







胸よりおでこを出せ、って
意味不明すぎるんだけど。









「あいつさ、異様に産毛が好きなんだよ」


「うぶげ……？」







詳しく聞いてみたものの
余計に謎が謎をうんだ。








「背中とかおでことか。
産毛見るとちょー興奮すんだって」


「え………、」








また引いてしまった私に
ぷっ、て嬉しそうに吹き出して私の腕を離した。








「引くだろ？俺より変態だろ？」


「……いや、でもあの顔で産毛好きとか言われてもキュンとするかも」


「はぁ？」








私って産毛ある？って軽く横に流してた前髪を上げて見せると
じとっ、と薄目でにらまれてぱちーんって綺麗な音を立ててデコピンをされた。







「痛っーーーい！！！」


「絶対見せんなよ、そのおでこ」








割と本気で痛かったデコピンに涙目になってると
一度上げたその前髪を雑に直された。

なんなのもう、さっきから
ドレスの胸元上げられたり、おでこデコピンされて見せるなって……………、









「あれ？」









これって………、







もしや嫉妬？









「あんだよ」





「あ、い、いや………。」









そんなわけないか……？

ライバルの陽之介先生に私が万が一、億が一口説かれたりでもしたら
"北山先生"としてのプライドが立たないからだよね。









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「あんま会場で離れんなよ、俺の隣」


「うん、それは私も離れられたら一人で居ずらいもん」


「よし、それでいい」








何様なのよ、って口調だけど
もう目の前にいつの間にか着いていたこの会場に入れば
"北山先生"っていうブランドが掲げられる世界。

その隣にいられるなんて幸せだなぁ、なんて
アシスタントとして改めてしみじみと思ってしまった。

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