キラハグ

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「ねぇ、ひろ！ヒカリが何か喋ってる！」









あれから一ヶ月ほど相変わらずバタバタな毎日を過ごした。

少し締切に追われがちだったから
こうして二人でまったり過ごすのは久しぶりな気がする。









「ほんとだ！
やべ、これぜってぇパパ大好きって言ってるわ」








あー、うー、っていう言葉を発してるだけなのに
そういう風に解釈出来ちゃうひろが凄い。

冗談とかじゃなく割とマジな顔して言ってるからね。









「まぁそれはさておき、こうやってどんどん成長してくんだね〜」









それはさておきってなんだよ、ってプリプリしながら
ラグに寝せてたヒカリを抱き上げて、そのままソファに座る私の隣に腰掛けてきた。









「そのうちパパってまじで言うよな？
どうしよ、俺泣くかもしんない」


「ふふ、確かにひろならまじで泣きそう」


「Aのことも、ママって呼ぶだろうし」


「………うん、」








それは……、まずいんじゃないかな。

ママじゃないのに、このまま面倒見てたらそりゃママだと認識はされるだろうし
ヒカリが成長するばするほど
色々と厄介なことになってしまうと思う。









「まぁいいよな、呼ばせとけば」


「いやいやいや、だめでしょ」


「嫌なの？」


「嫌……なわけはないけど、」








いつか離れなきゃなのに
ママと認識されて、ママと呼ばれるなんて
私にとってもヒカリにとっても
辛さしかない……。









「ま、あんま深く考えんなよ。
ちっさい頃ばあちゃんに育てられてて〜、とかっていう家庭だっていっぱいあるんだし。
とにかく今ヒカリに愛情注いでくれてんのはAなんだから、それでいいじゃん」









ヒカリを太ももに乗っけながら
ほっぺたをむにゅむにゅ、唇をむにゅむにゅして
なー、って同意を求めるとキャッキャと手足をばたつかせて笑った。









「ほら、ヒカリも喜んでる」


「そうだね、ありがとう」


「どういたちまちて〜」


「もうっ、また赤ちゃん言葉になってる」







どんどん親バカっぷりに拍車がかかるひろを
こんなにも側で毎日見れることも
私にとってはすごく幸せだ。

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