キラハグ

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「ちょっと、飲まね？」








その日の夜
先生がヒカリを寝かしつけてくれてる間にお風呂に入らせてもらい上がると
寝かし終えた先生がダイニングテーブルでビール片手に私に珍しく進めてきた。








「え、いいんですか？」


「いいだろ別に、母乳あげてるわけじゃねんだし」


「そうですけども」


「じゃあ飲もうぜ、付き合え」







なかば強引に向かい側に座らされて
もう準備万端に開けられていたその缶を、コツンと合わせた。








「おつかれ」


「おつかれさまです」









まだ髪の毛もちゃんと乾かしてなくて
スッピンでお団子に適当に結ってるだけなのに
こうして真正面で飲むとかちょっと恥ずかしい。







「あー、うまっ。やっぱビールだな」


「んー、久しぶりに飲んだぁっ」








この家に来てからあんまり飲んでなかったもんだから
ビールの苦味が体に染み渡る。

思わず、スッピン団子なのもどうでも良くなって
んーっと目を瞑って噛み締めてると
ははって笑い声が聞こえてくる。









「お前結構飲むんだっけ？」


「毎日ではないですけど、結構飲む方でしたよ」


「そうだっけ？
打ち上げとかであんま飲んでないイメージだったかも」


「それは先生をはじめ、芦田さんもあだっちーも桁外れに飲むから私が霞むんです」


「んはは、確かにそれは言えてるわ」









こうやって家にいる時に途端に緩む先生の雰囲気が好き。

職場でもそこまでピシッとしてるタイプではなかったけど
それ以上に先生のこの雰囲気は、甘くてくすぐったくなってしまう空気感。









「先生はお酒入るとすぐ熱く語り出すから
ちょっと面倒くさいですよね〜」


「あんだと？」






打ち上げでは高確率で後半はもう先生の漫画に対する熱い思いをひたすらに聞いてる、っていう展開。

まぁ私は先生のファンなわけだし
それはそれで喜んで聞いてる節もあるんだけど。

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