キラハグ

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「相手してくれんの？」


「ええっ？！？！」








思わず体を抱えて身を引いた。







「冗談だっつの」






「・・・」

「・・・」






そしてまた訪れる沈黙。








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自分でこの話題にしといてあれだけど
もう話題を変えてしまおうと、沈黙を破った。









「あの、先生は仕事もあるし支障をきたすといけないので
私ひとりで大丈夫ですよ」


「そう？平気？」


「はい、溜まってる先生に襲われても困るので」


「おい」


「ふふ、じゃあすみません布団お願いしまーす」


「はいはい」








ほんとにお前は、って押し入れらしきとこから布団を引っ張り出してきて
部屋に敷いてる先生を手伝いながら思った。



本当に溜まってないんだろうか。
奥さんがいなくなって一年くらい？ずっとしてないってことでしょ？
健全な成人男性としてそれっていかがなものなのか。






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「一応この布団新しいから」


「あ、はいっ。ありがとうございます」







まぁでもそんなの私には関係ないか。
余計なお世話すぎるな、うん。






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「しっかし可愛いなぁ、この寝顔」








布団にそっと移動させてあげたヒカリを見つめながら
ふわふわの髪の毛を撫でて、優しい顔をする先生。








「ね、ほんと天使みたい」


「確かに天使がいたらこんな感じかもな」


「ちょっとやっぱ先生に似てますよね？
このぽってりしてる唇とか、ほっぺもぷっくりしてて」


「え？そうか？」


「下唇の感じとか似てますよ」







小さな声で話をしながら
パッ、と隣の先生の唇に目をやった。

うん、やっぱ似てるな〜って思ってると
ぺちっ、ておでこに痛みが走った。







「痛っ」







先生にデコピンをされたのだと気付いて
おでこを抑えて先生を見つめた。







「何すんですかっ」


「見すぎだよ、人の唇」


「え？」


「ったく、何なんだお前は」


「なんなんだ、って…」







別にただヒカリと先生の親子感を見比べてただけなのに…。


ちっちゃい電気だけをつけてる薄暗いその部屋で
そんなわちゃわちゃを終えて、とりあえず先生に作ったご飯を用意してあげた。

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