キラハグ

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それから結局先生が帰ってきたのは
日付がもう変わりそうな23時過ぎだった。








「お疲れ様ですっ」


「お、まだ起きてたのか」






ドサッ、と一度ソファに座り込んだけど
リビング横の部屋のラグに寝せておいたヒカリを覗きにまたペタペタと歩いていった。







「ヒカリと一緒に寝落ちちゃってたんですけど
さっき泣き出したんでミルクあげて、また寝かせたとこなんです」


「そうだったんだ、お疲れ」








ヒカリの頭を撫でると、ハッとしたようにまた立ち上がった。








「つか、布団！敷かねぇとだな！」


「あ、うん、そうなんです」


「おまっ、もっと早く言えよっ」








ヒカリをどこに寝せたらいいのか
私もどこで寝たらいいのか結局答えは出なくて
フワフワなラグの上に寝せて、私もその隣でゴロンと横になってたんだもん。









「だ、だってなんか言いずらくて…」


「は？そこ一番大事だろうが」








そこ一番大事だと思うなら忘れないでほしかったんだけど、
まぁそこは仕事も忙しくて、先生もいっぱいいっぱいなんだろうしね。








.








「つか、一緒に寝る？」


「は？！？！」


「あ、いや、そういう意味じゃなくて
同じ部屋に布団敷くか？って」


「な、な、なんでっ？！」







そういう意味じゃなくても
同じ部屋に布団敷く意味が分かんないんだけども。








「ほら、夜泣いたりするだろうし
お前ひとりじゃしんどくね？」



「あぁ……、」







そういうことかい。

一人で勝手にあわあわしてバカみたいじゃないか。









「……なんか変な想像しただろ」


「えっ、いえ、全然っ？！？！」


「声が裏返ったな」


「いいいええ、たまたまですっ！」




「・・・」

「・・・」









なんだか気まずい空気になって
二人で顔を見合わせた。









「安心しろ、別に女に困ってねぇから」


「既婚者が女に困ってないとか、逆にやばくないですか」


「……」


「本当は溜まってるんじゃないですか〜？」







気まずい空気を打破しようと
肘でうりゃうりゃして茶化すように言うも、









「ふーん、溜まってたらどうすんの？」








って、逆にまた空気が気まずくなった。

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