キラハグ

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「せんせ〜、ヘルプミ〜」







抱っこ紐を取り出したものの
説明書を見ても、どう取り付けるのかちんぷんかんぷん。

もうギブアップで先生に助けを求めに行けば
ちょうど芦田さんとあだっちーは休憩中らしく、一人で机に向かっていた。








「なに？どした？」


「抱っこ紐の付け方が全然分かんなくて…
ちょっと付けるの手伝って貰えません？」


「えー、俺も分かっかな？」








どれどれ、と説明書を見ながら
とりあえずヒカリを抱っこ紐に乗せた。

それからその抱っこ紐ごと
私の正面から抱きしめられるように背中へと手が回される。








「ひっ、！！」


「これで平気？苦しくね？」








ヒカリが間にいるとはいえ
この半端ない密着感。

腰辺りに回されてる腕が
耳元の少し上で聞こえてくる声が……！！









「だっ、大丈夫っ、ですっ！！」


「じゃあこのままベルト止めるぞ？」








ひーーっ！！

その体勢で声を出さないで！！







「はいっ！是非っ！！」


「是非……？」








カチッ、とようやく留め具が止められて
解放された体。





なにこの抱っこ紐……。

夫婦のイチャイチャ用に作られてるの？ってくらい密着感すごいんだけど。
(本来は一人で装着するものです)









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「どした？なんか顔赤くね？暑ぃの？」


「え？！」








ばっ！て頬に手を当てて、慌ててふるふると首を横に振った。









「そ？
外暑ぃから水分取って熱中症気ぃつけろよ」


「はいっ！」


「あんま買うと荷物多くなって大変だから、あんま買いすぎんな」


「了解ですっ！」








じゃあ行ってきます、と赤くなった顔を隠すようにそそくさと背中を向けると
パシッと右手を掴まれて振り返った。







「ん？」


「……やっぱ一緒行くか？」


「大丈夫ですって」


「いや、でもさ、

「ふふ、先生って案外心配性ですね」







そういうの気にしなそうなのに
なんだかすごく意外すぎる一面に笑ってしまった。









「……あんだと？」


「へへ、行ってきまーす」









睨みモードに入った先生を無視して
今度こそ背中を向けて買い物へと出た。

その背中に微かに聞こえてきた
"行ってらっしゃい"って言葉が
くすぐったくて、嬉しかった。

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