キラハグ

１１ ページ11

.


「ヒカリ〜ただいまっ」


「んや〜、疲れたわ」






ようやく着いた職場。

荷物をドサッと置いて芦田さんが抱っこしてくれているヒカリのもとへと一目散に行くと
私に向かって腕を伸ばす姿にキューン。






「芦田さん、ありがとう」


「いいえ、さっきまで少しグズグズしてたんだけど
Aちゃん来たらご機嫌さんになったわ」


「え〜、へへ」







とりあえず先生と一緒に手洗いうがいをしに行って
ヒカリを数時間ぶりに抱き上げた。

ふわっ、と赤ちゃんの匂いがして
私の中の母性本能がむくむく湧き上がる。








「ヒカリ〜ごめんね〜お腹すいたでしょ？」






心なしかすごくニコニコしてくれてる気がする。

まだ赤ちゃんだからそこまで表情は汲み取れないんだけど。






.






「先生っ、ミルク作ってください」


「え？俺？」


「あと誰がいるんですか」


「作り方分かんねんだけど」





「ほらほら、私が教えてあげるわよ」







見かねた芦田さんが先生にミルク作りをレクチャーしてくれて
ホカホカのミルクを手に、私とヒカリの元へと戻ってくる。








「ほい、俺特製のミルクだぞ〜」


「ありがとうございます」


「ちょっと俺飲ましてみてい？」


「はい、どうぞどうぞっ」







ちょっと興味津々な先生に
飲ませやすいように抱っこの体制を変えてあげた。

椅子に座ってる私の足元にしゃがんで
私とヒカリに密着しながらミルクを口元に持っていく。






ちゃんと飲んでくれるのか…、


ドキドキとその様子を見ていると、








ぱくっ、と
哺乳瓶を咥えてくれた。

そして、んくんくと一生懸命に飲んでる姿。








.







「「かわいい…っ！！」」








その姿に先生と二人で悶絶。

か、可愛すぎないか……っ！！








「なんっだこれ、超かわいんだけど」


「ねっ？！やばい！こんな可愛いの？！」


「この口見ろよ、やっべ」


「可愛い、むきゅむきゅしてる」







大人二人にこんなにガン見されながらも
なーんも気にすることなくミルクを飲んでるヒカリ。

ミルク飲む姿ひとつでこんなにもデロデロになるなんて
これから先が思いやられる…。

１２→←１０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す