はじまる、恋。５

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「じゃあ北山は？」


「北山さんは…、」






キッカケはなんだろう。
いつの間にか話すようになってたから
もはや初会話すら覚えてないや。






「何かいつの間にかバカにされたり、からかわれたりするようになってました」


「あはは、あいつらしい愛情表現の裏返しだね」


「…え？」






あ、愛情表現・・？







.




「・・・」


「・・・」







その横尾さんのなんの悪意もない言葉に
なんとも言えない空気が流れる。







.









「…あ、ほら！横尾さん！
もう一枚お好み焼き焼いてよ！」


「え？まだ食べるの？」


「うん！食べたい！」





なんとなく状況を察してる宮田さんがフォローしてくれて
(めちゃくちゃしどろもどろに)
会話をはぐらかすことは出来たけど
チラッと横を見ると、複雑そうな顔した藤ヶ谷さんに







「…ちょっとお手洗い行ってきますね」







逃げる。
とりあえず逃げよう。









.









.






───


「なんだろうなぁ…。」






お手洗いの鏡の前でひとつため息をついた。

私が悩めば悩むほど
色んな人を苦しめて、気を遣わせてる気がする。

こんなちっぽけな何でもない私のために
誰かが苦しむのが、凄く苦痛。








「…ダメだダメだ！暗くなっちゃ！！」





うしっ！！って一人で気合いを入れていると
入ってきたお姉さんに不審な目で見られて
慌ててお手洗いをあとにした。








.








.









.









「A」


「あ、藤ヶ谷さんっ。
藤ヶ谷さんもお手洗いですか？」






席に戻ろうと店の廊下を歩いていると
同じく廊下にいた藤ヶ谷さん。







「ちょっと外出ない？酔い覚ましに」






その辺散歩してみようよ、って軽く腕を引かれて
笑顔で頷いた。

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