はじまる、恋。５

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藤ヶ谷さんは、緊張してる私をほぐすように
沢山の優しいキスをくれる。

そしてそれにまんまと気持ちをほぐされて
求めちゃう、もっともっと藤ヶ谷さんをって。

もう気持ちに余裕もなくて
首元に巻き付くように腕を回すと





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「今すぐ本当は、俺で全部Aを染めちゃいたい」


「え？」








切なそうに私を見下ろす。









「北山に染まっちゃったAを、俺でいっぱいにしたいんだけどさ」







むしろ私もしてほしい気持ちでいっぱいですけど・・？








「ちゃんと、Aが俺を選んでくれてからにするね」


「たいすけを選んでから…？」


「そう、俺を選んでくれたらいっぱいいっぱい愛してあげる」







胸元ギリギリのところに唇を這わせて
反応してしまう私に、意地悪に笑って見せた。









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「ここから先は、A次第だからね」







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・・・本当にずるい。

触れてほしくて堪らないこの気持ちを分かっててそんなことを言う藤ヶ谷さんは
ずるすぎる。








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───


「帰っちゃうんですか…？」






結局あれから不完全燃焼でモヤモヤしてる私の気持ちを置き去りに
ソファから起き上がらせてくれて
明日も早いんだから、って帰ってしまいそうな玄関前。







「明日からAは大阪前日入りでしょ？」


「…はい。」


「だったら早めに体休めないと」







ね？って、少し屈んで可愛いお目目で覗かれた。







「…寂しいです。」


「よし、それは作戦大成功だ」





・・・作戦？





「その気持ち、忘れずにずっと持っててね」









もう何度目か分からないチューを頂いて
靴を履き終えた藤ヶ谷さんの胸の中に閉じ込められた。








「家に着いたら連絡するね」


「…はい、待ってます」


「あ、でも眠いなら寝てもいいからね」







こんなド○○キな興奮状態でどうやって寝ろと？








「…おやすみ。」








名残惜しく離されたその体と、無機質な音をたてて閉められた扉に
寂しさが一気に押し寄せる。







これが藤ヶ谷さんの作戦だっていうのなら
まんまとどっぷりと、ハマってますよ私。

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