蜜色の一雫

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こ、これは………！！

よく漫画やドラマで見かけるベタなやつ！！





「あ、ありがとございます………っ、」


「くくっ、顔真っ赤〜」


「なっ、違っ、暑いんです！///」




絶対からかってる。

可笑しそうにしながらまた自分のオムライスを頬張る北山さんも
まだ口の端にソースついてるし。





「北山さんこそ、ソースがお口についてますよ」




フォークを拾って反撃のようにそう言ったのに、





「まじ？
じゃあ井上さんも俺の拭ってよ」





って、せっかくの反撃もまた自分に返ってくる。

身を乗り出して、ぷっくりしてる唇を突き出してくるから
危うくまたフォークを落としそうになった。






「や、やですよっ！///」


「なんでよ」


「なんでって……、」





私はそんな簡単に男の人の唇に触れられるほど
恋愛スキルも持ち合わせてないし、器用じゃない。

意識しすぎなのかもしれないけど、
いや、意識しすぎとかじゃなくて普通に無理だよね………？




そんな自問自答を頭の中で繰り返してると
じゃあいいよーだ、って
紙ナプキンを手に自分で口を拭いてる。







「北山さんって凄く女慣れしてる……」


「そう？そんなことないけど」


「そうですよ、普通こんなこと出来ないです」


「ま、いくら女慣れしてたってな〜
好きな女に好かれないと意味ないし」


「……………、」






………それはどう反応したらいいの、私は。






「ね、パンケーキひと口ちょうだい」


「あ、はい、どうぞ」





こうやって普通に女の子とシェアしちゃうとこも
彼はなんでもなくやってるんだろうけど
いちいちドキドキしちゃうじゃない。






「オムライスも食う？」


「あ………、う、いや、大丈夫かな？」


「俺のは食えないってか」


「違います違います！」


「じゃあ食べてよ、うまいから」






有無を言わさずにあーんさせられて
また照れる私を笑ってきて。

そんなドキドキだらけのランチは
私の寿命を縮めながらもなんとか終了した。






「えっ、北山さん払ったんですか？！」


「ん？」


「お礼に奢るっていったのにっ」


「また今度奢って」





結局北山さんがいつの間にか会計をしてたらしくて
お礼のつもりがまた借りを作ってしまったけど。

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