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その夜、ひろからの連絡は来なかった。
やっぱりダメになった、の一言ぐらいは欲しかったし、逢えると思っていただけにすごくガッカリしたけど
自分も昨夜、ひろからの電話に出れなかったんだからお互い様だと言い聞かせて布団にもぐり込む。
明日には連絡くるといいなぁ。
不安を断ち切るようにそう願って目を閉じた。
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「ひろっ」
「おう、こっち」
結局ひろに逢えたのは、玉森さんの家に泊まった日から3日後。
それでもライブ後じゃない待ち合わせは初めてで、
それだけでも何だかドキドキして舞い上がってしまって。
もう、やだ、
慣れないことなんてするんじゃなかった。
いつもより化粧濃くないかな、とか洋服ちょっと可愛すぎたかなとか、ライブがない分、女の子らしいお洒落に気合いを入れすぎたことに
ひろに会った途端心配になる。
「落ち着けって」
「だ、だってっ、スカートみじかすぎじゃないかな?」
「セクシー魔女ちゃんが今更すぎんだろ」
「ひっ」
すっかり忘れていた黒歴史。
「言わないでそれ……」
「ははっ、いいじゃん、
あれがあったから俺たち出逢えたんだし」
それはそうだけど………
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「なぁ、A」
「ん?」
「俺さ、もう適当に女と遊ぶのも、○フレつくんのもやめようと思って」
この時の私は、きっとすごく期待に満ちた目をしてた気がする。
だからなのか、ひろが顔を一瞬歪ませて、焦ったように私から目を逸らした。
「だから……もうAとは会えない」
え……………?
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そのあとの記憶は断片的にしかない。
正直何を話して、どんな風に別れて、どうやって家に帰ってきたのかも
よく思い出せなかった。
フラれたわけでも、別れたわけでもなく
ただ刹那的に遊んで、終わっただけ。
だからひろは悪くないし
悲しむのもショックを受けるのも筋違い。
だけど、
だけどね、
涙がいつまでも止まらなくて
胸が切り裂かれてるみたいに痛くて
上手く呼吸もできなくて
私はただ真っ暗な部屋の真ん中で崩れ落ちて
声を詰まらせて泣くことしかできなかった。
ひろの一言でこんなにも変わってしまう私の世界。
美しい音に溢れ、
鮮やかな極彩色の世界は
音を失い
色を失くして
光のない真っ暗な世界になった─────。
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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2020年1月9日 18時