4 玉森side ページ4
.
目に見えて動揺してるミツ。
ミツは本当に分かりやすいと思う。
だけど、ごめん。
これだけは譲れない。
ずっとずっと何をしててもつまらなくて
何に対しても大して執着が持てなくて
でもそんな毎日にほんの少しだけ苛立って。
でもその苛立ちに向き合いたくはなかったし、
適当に、緩く生きてるのが自分だって周りに思われてる方が楽だったから、誰に何を言われようと、非難されようと、ずっとこのスタンスでやってきた。
音楽はそんな苛立ちを少しだけ和らげてくれたけれど、
でもそんなことよりも、女を引っ掛けるツールにしか俺は思ってなかった。
ミツを宮田に紹介された時、
同じように生きてるミツに親近感が沸いた。
だからかな。
ミツが抱いた女は尽く気になって、共有したくなって。
女なんてどうしようもない、信じるに値しない生き物だってこと、いっつもミツに分からせたかったのかもしれない。
ずっと自分と同じ気持ちでいて欲しかったから。
先に抜け出されたら寂しかったから。
だからAのことが気になったのも
最初はミツが珍しくご執心だったからだ。
ただそれだけだったのに。
「俺ってサイテー………」
100%最低なことをしてる自覚はある。
でも諦められなかった、どうしても。
俺だってやっと、やっと見つけたから。
その代わり、ミツに音楽を
音楽で返そうって思ってる自分は狡いんだろうか。
ミツがメンバーの中で誰よりも"KISS"を大事にしてること、愛してることを知っていて。
.
ろくに練習もせず、鈍っていた技術で奏でていた適当な音。
それなのに、あんな音をAは褒めてくれて
嬉しくて、情けなくて、悔しくて。
ミツに自分の気持ちを告白した夜、俺は自宅でベースの練習を始めた。
アンプラグでヘッドホンを使って夜中まで。
途中、ミツから宮田と二階堂もインディーズデビューを承諾してくれたというLINEが入る。
皆、本当は夢をまだ追いたかったんだな。
なんだか興奮した。
こんな気持ちは初めてだった。
709人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2020年1月9日 18時