嘘つきなキス２ (ページ12)

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１２北山side ページ12

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今まで書き溜めていた歌詞や作った曲を整理していれば
久しぶりにあいりの為に書いた歌詞や曲も見ることになり、心は懐かしさと痛みに切なく疼く。

あの頃の曲は使わない。
ずっとそう思っていたけれど、それこそずっと心が過去に縛られていることに他ならない。

それじゃあ前へは進めない。

あいりが歌っていた歌詞はほとんど男目線のものだったから
キーを下げれば俺が歌うことも可能だ。

メジャーデビューシングルになるはずだった『ADAMAS』
もう二度と日の目を見ることはないと思っていたけど。

僕たちの"core"掲げて

革命の確証、さぁ輝け！
今を輝け！

あいりの声が聞こえる。
涙が溢れる。

この曲を歌う。

過去と決別する為に。

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「FREEZE、VERSUS、蛹、DON’T WANNA DIE、MOON、アイノビート、ADAMAS、Brave freak out、この８曲で行こうと思う」

新アルバムの為に３曲を書き下ろし、他は既存曲で人気のある曲を持ってきた。

吟味に吟味を重ねた俺の提案に
メンバー皆が納得してくれてほっとする。

「程よく和のテイストも入ってていいね」

宮田も二階堂も"ADAMAS"を入れたことについては何も言わなかった。

「俺の衣装案も見てくれる？」

玉森は友人の新鋭デザイナーと共に考えたというデザイン画をテーブルの上に広げた。

「俺だけ……和装？」

その画を見て驚く俺に
満足そうに笑う玉森。

「そう。赤を基調に左右の柄が違う袖にした直綴(じきとつ)っていう僧侶の法衣を元にした着物にゴールドの袈裟(けさ)で派手さを出して首には白いファーをかける。
ミツに絶対似合うと思う」

「で、俺たちはあえての洋装か！さすが玉さんこれ、めちゃくちゃお洒落だわ」

宮田が絶賛してるほかのメンバーの衣装は、モノトーン色にところどころ豹柄や星柄やスパンコールの布がツギハギされているロングジャケットにダメージブラックジーンズという、アメリカントラディショナルっぽさのある衣装だった。

「すげぇ玉」

俺も宮田と同様、アルバムの世界観に合わせた完璧な衣装に感嘆の声しか出なかった。