嘘つきなキス ２

１１ 北山side ページ11

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今月中にアルバム制作、ＭＶ撮影。
３月末からツアー。

ＭＶと前回のライブの様子などをホームページで流し、HP上でファンクラブ会員を募り、ファンクラブ先行でライブチケットを販売。



ＭＶ作成や大きなライブをする時の準備資金が確保されていることと、
増えたファンの管理が容易になるだけでも、
レーベルと組む価値は大きい。



しばらくライブはお預けになるけど
アルバム制作に没頭できる。



メンバー全員がこの道一本で生きていくことに賭けてくれた。




不安でも前に進むしかなかった。






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今まで曲作りや打ち合わせにはほとんど不参加だったのに
今回は積極的に参加してる玉森。





「テーマは和洋折衷、風雅。
ツアータイトルは"雪月花"
リード曲のFreezeでＭＶを撮る。
ってところまでが決定事項なわけだけど」




そこまで説明していたら、玉森が手を上げた。




「ＭＶの衣装は？それにツアーグッズも。
自由に作らせて貰えるなら俺作りたい」




その上、めちゃくちゃやる気に満ち溢れてる。
有難いことだけど。




「玉のデザインした衣装か。
桜井さんに伝えてみるわ」


「よろしく」


「あと、ミツ、和洋折衷、エモな感じでいくなら
バンドにピアノかシンセを入れた方がいいかも」


「俺も思ってた。それも桜井さんに相談するわ」



宮田の意見に頷けば、




「千賀がいればなぁ」




二階堂がぽつりと呟く。



「戻ってこねーかな」


「老舗の温泉旅館継いでんだから難しいだろ」


「それにさ………あっ、いや、
なんでもない」



慌てて口をつぐんだ二階堂が何を言おうとしてたのかすぐに分かったけど
それには気づかないふりをした。



分かってる。
今の状態がこのバンドのベストではないってことぐらい。



でも今はこれでやってかなきゃいけないんだから。



出来れば外部のアシストメンバーを投入しなくとも、グループのメンバーだけで全てやりたいのは全員同じだ。
でももう少しエモさを出すには鍵盤楽器が必要なのも分かってるから。



後悔がないものを作って勝負したい。



だから今は、余計なことを考えてる暇はなかった─────。

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