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裕太が教えてくれた、インディーズ最初のファーストシングル"FREEZE"のMV公開日。



もう何回再生を繰り返しただろう。


気づけば1時間以上経っていて
もう寝なきゃと思いながらも再生を止めること出来なかった。



久しぶりに見るひろの歌う姿。




暗闇に浮き出る仄かな白いライトが白夜のような世界を作り出していて
二階堂さんのかっこいいイントロのギターリフで始まる曲にぶわっと鳥肌が立つ。


ラウドロックでありながらも泣くようなギターソロに震える心。



そして裕太のベースも凄く上手くなってる………






なのに私の目は、耳は、
それ以上にひろに釘付けだった。




青白く幻想的な世界観でひろの衣装だけが鮮やかな朱でまるで氷上に広がる血のようにも見えた。



氷に咲く紅の赤い花。




サウンドに負けない甘く力強い声。
挑発的に笑う表情。




やっぱりひろは歌ってる時が一番輝いてる。




こんな凄い人がこのまま小さな世界で埋もれたままであるはずがないから
絶対に"KISS"はもっともっと有名になる。



歌が上手いだけじゃない。
ステージ上のひろは圧倒的な存在感がある。

理屈じゃなく人を惹きつける魅力みたいなものがある。




私を変な男から救ってくれたひろ。

お手軽に女をいただいちゃうひろ。

美味しいものが大好きなひろ。

ものすごく繊細でストレートな詞を作るひろ。

音楽に対しては真摯で真剣で努力家なひろ。

かつて大切な、大切な女の人がいたひろ。



知り合ってほんのわずかだったけど、そのわずかな時間で知ることができたひろの姿は全部、全部、かけがえのない宝物で。



甘く痺れるような口付けも

溶けてしまいそうに髪を撫でてくれる手も

心の奥までこじ開けるように触れる指の感触も

抱きしめられた身体の熱さも

私の中に入って愛おしそうに名前を呼んでくれる甘く掠れた声も



全部、全部、



忘れるなんて、出来るわけがない────。






ひろのことになると
まだ涙は枯れることを知らなくて




"熱くさせる この瞬間を freeze"





画面越しのひろを見ながら
声を出さずに泣くことしか出来なかった。

15→←13 北山side



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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2020年1月9日 18時

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