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教室に入り、自分の席へと着く。周りのクラスメイト達は友達とわいわいと話しているが、生憎私は友と呼べる人間はいない為、静かに授業の予習をする。友達がいない理由は、傑が圧をかけるからだ。
「友人なんて作ってしまったら、私との時間が減るだろう?」
と言われた。さも当たり前かのように。友達を作ることすらだめなのか。まるで束縛の激しい彼氏のようだ、と思う。私にもいつか彼氏ができるだろうか。もし出来るなら弟のようなタイプは避けたい。あのタイプは弟ひとりでお腹いっぱいだ。
授業の予習を半分終えた頃、チャイムが鳴り担任が入ってくる。予習は昨日もしたから大丈夫だ。…まぁ、傑に邪魔をされながらだったが。
ホームルームが終わり、授業が始まる。今日の一限目は数学だ。
「__と、このような式になり、答えが___」
正直将来何の役に立つかもわからない数式の解説を聞き流しながら、弟との距離の取り方について考える。
あからさまな離れ方をすれば逆に離れられなくなってしまうことはもう目に見えているから、もっと分かりずらく、慎重に事を運ばなければならない。友人を作ってみたらどうかと考えるが邪魔されるか、付き纏われるかのどちらかだろう。それではその友人にも迷惑がかかるし、何より距離を取ろうとしていることがバレてしまいそうだ。今からでも部活に入ってみるとか?部活があるからと言えば流石に諦めてくれるのではないか?…いや、同じ部活に入る、と言い出しそうだ。
事態は思ったより深刻だったようで。我が弟ながら難攻不落すぎる。
「__以上で授業を終わりにする。号令」
その言葉ではっとする。考え込んでいた間に授業は進み、いつの間にか終わっていたようだ。当てられなくてよかった。当てられていたらきっと、いや確実に答えられなかっただろう。運が味方した。ありがとう神様。
ありがとうございました、と言い授業が終わる。途端に私を呼ぶ声がした。
「姉さん」
『…ねぇ傑。さっき授業が終わったばっかなんだけど』
「そうだね?」
『そうだね?じゃない。いつも思うけど会いに来るの流石に早すぎじゃない?』
「本当は一分一秒足りとも姉さんの傍から離れたくないんだ。これでも我慢しているんだよ。むしろ褒めて欲しいな」
『ええ』
「困ってる姉さんも可愛いよ。そうだ、帰りに新しく出来たクレープ屋にでも行こうか。姉さんは甘い物が好きだろう?」
一体いつもどこからその情報を仕入れてくるんだ。
まぁ勿論行くが。
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無名(プロフ) - 麗澪さん» ありがとうございます。頑張ります! (2021年10月29日 0時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
麗澪(プロフ) - 応援してます。面白すぎ (2021年10月28日 17時) (レス) @page4 id: e60b29b16c (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - 雪マカロンさん» 今作も読んでくださりありがとうございます!頑張って参ります! (2021年10月28日 9時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 新作も最高です!更新頑張ってください! (2021年10月28日 7時) (レス) @page3 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無名 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mumei02031/
作成日時:2021年10月28日 2時