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「姉さん来たよ」
「昨日予習してたところは出たかい?」
「次は移動教室だろう?頑張ってね」
「姉さん一緒にご飯を食べよう、ほらおいで」
「今日は掃除当番じゃないよね?授業が終わったら迎えに来るから、一緒にクレープ屋に行こうね」
なぜ毎時間来るんだ。いつもの事だが少々鬱陶しいし執拗い。いい加減友達を作れ。
そんなことを思っていれば遂に最後の授業が終わってしまった。あとは帰りの挨拶のみ。さらば束の間の自由。
帰りの挨拶をし、約1分。帰りの準備をしている間に傑が来た。
「姉さん。迎えに来たよ」
『はぁ…ねえ傑。もう私たち高校一年生だよ?そろそろ友達くらい作ろうよ。いい加減青春したい』
「え、何を言っているんだい?青春なら私とすればいいじゃないか。友達が欲しいなら私が弟兼友達になるよ」
ね?いいだろう?と問いかけてくる。いい訳ないだろう。むしろなぜいいと思ったんだ。謎である。いつも、いつまでも傑は弟で、それ以外の何物でもない。友達のような関係になれたとしても、私にとっては大事な弟。友達とは全くの別物なのだ。
はぁ、と今日何度目かも分からない溜息をつきそうになり咄嗟に押し殺す。目の前で溜息をつけばもっと面倒くさいことになることが分かっていたからである。
『………もういいからクレープ屋さん行こ』
「ふふ、そうだね。早く行こう。ついでに買い物にも行きたいんだけどいいかい?」
『うん、全然いいよ』
毎食傑が作ってくれている。買い物に付き合うくらい朝飯前だ。私も料理が作れないわけではない。特別上手いとかではないが、本当に普通に作れる。なのに傑は作らせてくれないのだ。もしかして美味しくなかったのか、と悩んだりもしたが調理実習等では問題なく作れている。まぁだからといってどうしても作りたい訳では無い。作りたいと言っているのだから作らせてあげる方がいいだろう、という結論だ。
弟離れをするには、自分で作った方がいいのだろうか。
「今回もいちごにするのかい?」
『んー、どうしよう。定番のいちごもいいけど…バナナもいいよねえ……』
「それはどっちも定番だと思うよ」
ふふ、と少し呆れたように、楽しそうに笑う傑。我が弟ながらなんて顔がいいんだ。私もこんな整った顔に生まれたかったものだ。同じ親なのにどうしてこうも差があるんだ。人間って不平等すぎないか????
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無名(プロフ) - 麗澪さん» ありがとうございます。頑張ります! (2021年10月29日 0時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
麗澪(プロフ) - 応援してます。面白すぎ (2021年10月28日 17時) (レス) @page4 id: e60b29b16c (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - 雪マカロンさん» 今作も読んでくださりありがとうございます!頑張って参ります! (2021年10月28日 9時) (レス) id: a93a36c880 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 新作も最高です!更新頑張ってください! (2021年10月28日 7時) (レス) @page3 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無名 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mumei02031/
作成日時:2021年10月28日 2時