信仰165 ページ46
その次の日、私はポートマフィアに入ると異様な視線の数を感じてギョッとした。
知らない人からも目線を向けられているのでなんだろうと思いつつも幹部室に向かおうとする。そしたらすれ違った人に「佐倉さん、おめでとうございます」と言われた。
え?と振り返るがその人はそのまま立ち去ってしまうので何がおめでとうございますなのかは聞けなかった。そんなことが一度ならず二度、三度と降り積もって幹部室に向かうだけで二桁いくのではないかという程声を掛けられてしまった……なんなの?
気を取り直して戸を叩き、「佐倉です」と言うと後から返事が……
来る前に物凄い勢いで扉が開いて中に入れられ、悲鳴を上げる間もなく扉に体を押し付けられてすぐ後ろの扉の木板が悲惨な音を立てた。所謂壁ドンという状態に立った私を真正面から睨みつけているのはつい昨日晴れて恋人同士になった中原さんだった。
「手前……社内の誰に漏らした」
「は、はい?」
「俺らが交際始めたってことを誰に言ったんだよ!?此処に来るまで死ぬ程声かけられるわ根掘り葉掘り聞かれるわでうんざりしてんだよ!」
「え、いやあの私誰にも」
「じゃあなんで社内中にばら撒かれてんだよ吃驚したわ!!」
どうやら私が朝から声をかけられまくっていたのは中原さんと同じ理由らしい……そして中原さんは私以上に悲惨なめに遭ったみたいだ。
私も知りたいぐらいですよ、と言おうとすると私の後ろの扉がコンコンと音を立てた。補佐や準幹部意外は滅多に叩かれない幹部室の戸……なんだろうと思って今の状況も忘れて要件に耳を傾けた。
「中原幹部、首領が佐倉幹部補佐と共に首領の元へ一刻も早く来られるようにとのことです」
部下のその言葉に私と中原さんは顔を見合わせた。
*****
「首領、緊急事態とのことで参りました。して、具体的な内容についてお伺いしたいのですが……」
「うむ、一旦其処に掛けてくれ給え」
少し疑問には思ったが、大人しくアンティークのような装飾が施された椅子に中原さんと並んで座った。
「私が緊急で君達を呼び出した理由は……」
重々しい首領の表情にごくりと生唾を飲み込む。
「君達の、結納についてなんだがね」
「は?」
見事に中原さんと声が重なり合った。
結納……?ってあれだよね、婚約成立の証とかで金品がどうたらこうたらとか双方の両親と食事をするとかの……
え?なんです?私達の?はい?
(どういうことだよ……!?)
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おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時