信仰142 ページ23
ぼすん、とベッドにうつ伏せで身を放り出した
そのまま体が段々とベッドに沈みこんでいくのを感じながら体制を仰向けに直し、はぁと息だけの溜息をつく。
闇に溶けるその息は空虚なまま、意味を持たぬまま消える。
体は異常なほど疲れているのに、脳も睡眠を欲しているのに、私は一向に眠りにつけなかった。
今度は少し低い声の混じった溜息を零して携帯を開く。未だに太宰さんに返信を返していなかった。
姐さんは私にその一つの忠告をしてそれ以上は何も言わず、ただ「帰る」とだけ言った。
また何か事態に進展があったら報告してくれとは言われたが、恐らく姐さんはこれ以上私に何かアドバイスをしてくれることは無いだろう。
『嘘をつくな』
この言葉が全てで、ようは私が自分の気持ちに正直にならないといけないということなのだろう。
……組織のことではなく、自分の意志で考えて行動しろと。
(でも私には、何も無い)
ポートマフィアを取ったら、私には何も無くなる。
今まで双黒が私の全てだった。
双黒にその身を全て捧げることが幸せだった。
つまらない人間の私に、あの二人が生きる意味を与えてくれた。
(……太宰さんは、なんで私なんかを好きになったんだろう)
特別美人という訳でも色香がある訳でもない私の一体どこを好きになったんだろう。
どうして、私なんだろう
ふと降りてきた眠気を払いながら、太宰さんに『会える』という旨の返信をした
*****
「今日は早く帰るのか」
中原さんは書類から目を離さないまま「珍しいな」と言って頬杖をついた。
異様にかっこいいので連写した。後で焼き増ししよう。
「はい……少し疲れたので」
「ま、あんな事件の後だからな。ゆっくり休め」
「はい!お先に失礼しますね」
ぺこりと頭を下げて扉から出て行く。
……別に何か
本当は今日は休みなんだけど、仕事を少しはしていないと落ち着かないので少しだけ姐さんに書類を回させて頂いて9割は自分で片付けた。
まぁ社畜だし、休日なんてあるようで無いようなもんだし、約束の3時までは暇だったから丁度いい。今は大体2時半なので予定ピッタリだ。
(……なんか、緊張する)
太宰さんに今から会うのだと思うと、変に緊張して胸がどくどくと波打った
1336人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時