信仰140 ページ21
「……と、ここまでなんですけど」
ここ数日のことを全て話した。
私の異能のこと、太宰さんに言われたこと、中原さんのこと……
全て話し終えて、やっぱりこれは夢なんじゃないかと思えてくる。
あの太宰さんが私のことを……そんな風に、思っていたなんて。
やっぱり信じられないし、未だに実感がわかない。
けれど姐さんはくいっと酒を飲み干して「成程のう」とだけ呟いた。
「……太宰め、本当に憎らしい男よ。
姐さんがからかうように目線をこちらに遊ばせる。
「もう……からかわないで下さい」
「揶揄ってなどおらんぞ?事実じゃ」
それより、と再び目線を落として姐さんが切り出す。
「……お主、返事はどうするつもりか」
「え?」
「紛いなりにも自分へ恋文を告白されたのだろう?それならば当然返事をせねばなるまい。どうするつもりじゃ」
返事、と呟いて俯く。
……真剣に考えてはいる。
もうこの際冗談だのからかわれてるだのとは思わないが、正直あまり実感は湧いていない。
何故なら太宰さんは私にとってずっとずっと信仰する対象だったのだから。
「……好きか嫌いか、で言えば当然太宰さんのことは好きです。けど……その、恋愛対象かどうかと言われたら……」
これが正直な話だ。
太宰さんは滅茶苦茶格好良い。
そりゃもう三日三晩その格好良さについて余裕で語れるレベルで格好良い。
けれど、だから恋をしているかと言われれば微妙だ……
もうずっと長い間部下だったし、それに太宰さんは……
(……私を、捨てた)
本当に私のことが好きだったのなら、何故捨てたのだろう。
要らないから、足でまといだから捨てたんじゃなかったんだろうか。
「……
「へ……?」
「嗚呼、懐いているという意味では無いぞ?太宰がお主に向けた感情と同じように、お主もまた太宰を好いていると……そう思っておった」
正直びっくりした。
姐さんはそんな風に思ってたのか……。
それでも私に何も言わず、ただ見守ってくれていたのだろうか。
「だがもし太宰を選ぶのなら、相応の覚悟が必要になるのう」
「……そう、ですね」
「それも又一興じゃ。私はお前がポートマフィアから抜けて太宰を選ぼうとも闇討ちなどはせぬ」
1336人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時