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【無一郎 side】
そうか、…そうか
違うんだ。
平気でいられる訳じゃない。
心配じゃないわけでもない。
どうなってもいいなんて思える訳がない。
黙ってみてなんていたくない。
兄さんは僕に負けず劣らず姉さんの事が大好きで、だからこそなにもしないのだ。
出ていった自分を守ろうとして姉さんが傷つけられたりしないように。
自分がいるために鬼に攻撃できなくなったりしないように
そして何もできない自分が巻き込まれて、姉さんが無理までして戦った事が無意味にならないように。
それに、兄さんは姉さんのことを信じてるんだ
『私は鬼殺隊・階級戊 時透A!!私を信じてっ、お願いっ!!』
その言葉を信じてるんだ
思えば兄さんはどんな時でも姉さんを信じてた。
姉さんの力を、努力を、言葉を信じてた。
姉さんの最終選別の時、あのときだってそうだった。
『…姉さんがそんな簡単に死ぬわけないだろ。…俺は姉さんを信じてる』
(【鬼滅の刃】時透の長女は弟達を溺愛したい。【時透兄弟】【短編集】収録、
「時透の双子は姉の隊服を燃やす。」参照)
心細い位小さく思えるその姿。
きっと兄さんも不安で仕方なくて、平気でなんていられなくて、心配で、けど自分に今出来ることは何もないから、僕のためにも自分は姉さんを信じていなければ、否、信じることしか出来ないのだ、と。
一生懸命、今すぐ出ていきたいのを、姉さんを休ませて出来るものなら自分が代わりに戦いたいのを、守りたいのを我慢してるんだ。
つかまれた僕の腕にギリギリと爪が食い込む程力のこもった両手にはそんな思いを物語っているのだろうか。
時透 無一郎
「…」
それに気づいてなお言い返すことなんてどうしてできよう?
僕はあいてる左手で兄さんの目尻に溢れた涙を拭い、そしてぎこちなく、ぎこちなくもそっと、その小さな体を抱き締めた。
時透 有一郎
「なっ…無一郎…?」
困惑したように僕に呼び掛けて、それから兄さんは右手を自分の目の方へ持っていく。
自身の指を濡らした涙に、兄さんは驚いたようだった。
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るるっち(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとうございます!あの話はとても楽しみながら書いた覚えがあります笑 (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 夢主ちゃんのドッキリがすごく面白かったです❗ (8月28日 11時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - はい!!!!そんなこと言っていただき光栄です//////めっちゃありがとうございます。 (7月1日 6時) (レス) id: c9acf0ff51 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 紬さん» そうなんですかね。コメントって貰えたら貰えるだけ嬉しいものですし、私としてはなるべくその思いをお返ししたいと思ってます。しかし、こうして褒めて貰えると嬉しいものですね。こちらこそありがとうございます。 (6月30日 20時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - おーーーー!それは素晴らしいですね。返信できる人ってなかなかいませんよ///本当にいろんな意味でありがとうございます。 (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)
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