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【無一郎 side】

時透 無一郎
「……にい、さん……?」

うわ、変な声。

目覚めて一番に思うことがこれってどうなんだろう、とは思うけど、それくらい不自然だった。

あれから何日経ったのか知らないけど、しばらく声帯を使わなかったからだろう。

とかぼんやり考えていると。

時透 有一郎
「……むい、ちろう……」

兄さんの声は不自然に震えて、目にはみるみるうちに涙が溜まっていった。

時透 有一郎
「む、いちろぉ……無一郎ぉ……!」

ぎゅ、と突然抱き締められる。

時透 無一郎
「わ、ちょ、兄さんっ!?」

時透 有一郎
「……っ馬鹿、馬鹿ぁ……
心配したんだからなっ、馬鹿っ……!」

時透 無一郎
「っ、ご、ごめん……
……ちょ、痛い痛い、兄さんっ、力強いっ」

時透 有一郎
「あっ……ご、ごめんな」

慌てて離れる兄さんは、何だかいつもより可愛くて、幼く感じた。

時透 無一郎
「……ふふっ」

時透 有一郎
「っ、何、笑って……」

時透 無一郎
「いや、何か今日の兄さん可愛いなぁって……」

時透 有一郎
「……うるさいっ」

じとっと睨んでくるけど、泣きながらだとちっとも迫力がない。

……とか思ってたら、もう一度、今度はそっと兄さんが抱き締めてきた。そして、

時透 有一郎
「……ごめん……」

と、突然、本当に突然、小さくそう言われる。

時透 無一郎
「……え、何?」

時透 有一郎
「っ今までっ……ごめんっ。本当にっ、ごめんっ……!
いつも、優しくしてやれなくてっ……酷い事ばっかりいって、傷つけて……!」

……嗚呼。

姉さんの言う通りだ。

兄さんは、本当に優しい人だ。

ただ、不器用なだけで。

僕の事を、一番大切にしてくれる人だ。

きっと僕が目覚めるまで、ずっと思ってた。

あの暗闇で僕が不安で心細かったよりもっとずっと、兄さんはきっと心細くて、不安だっただろう。

……本当に、兄さんは……。

ぎゅ、と抱き返す。

時透 無一郎
「僕の方こそ、




ごめんね、兄さん」

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廣岡唯 - 3だあ (11月21日 13時) (レス) @page28 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwキャラほうたい (11月21日 13時) (レス) @page4 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 優衣さん» ありがとうございます!今思えばキャラ崩壊させすぎでは……?と思う描写も多いのですがそれでも今なお楽しんでくれる方がいるというのは本当に嬉しい限りです。コメントありがとうございました! (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - このお話よくできてますよ👌すごく面白いですこの作品‼️特に無一郎と有一郎の3分クッキングが面白くてすごく笑いました❗無一郎と有一郎のキャラ崩壊がすごく面白いです✨ (8月27日 19時) (レス) @page44 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まじですか!!!!めっちゃ嬉しいです//////楽しみにまってます** (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るるっち | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月2日 15時

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